vol.158「『制約』と『難しさ』が、面白くもし、成長させる。」
思いどおりにいかないことほど熱中する。制約を守るからエキサイトする、という話をします。
◆「思いどおりにいかない」から熱中できる。
学生の頃、「ダービースタリオン」という競馬を舞台にしたテレビゲーム(通称ダビスタ)に熱中したことがあります。
ゲームの構造はきわめて単純で、
①生産:馬主として、繁殖牝馬を購入→種牡馬を選び 競走馬を生産する
②戦う:調教してレースに出走させ、大レースで強いライバル馬に勝たせる
を繰り返すだけ。
②の発展形「自分が作った馬を他のプレイヤーの馬と戦わせるモード」が流行り、多くのプレイヤーが(ゲーム内のレースはおまけ程度どなり)その対決に はまりました。
ポイントは、
(1) 馬の強さは生まれる時点のランダムな計算で決まり、その課程や数値はブラックボックスであること
(2) 牝馬と種牡馬の組合せ(配合)がすべてで、「期待値(最大値)の高い配合」を見つけるゲームであること
です。学生の頃、明け方までやり込んだりしたものです。
「ルールはシンプルであるほどいい」「思い通りにならないから熱中する」ということがよくわかるゲームでした。
◆「他人の決めたルール」を守る面白さ。
ファミコンはひたすらインドアの遊びだけど、アウトドアだとゴルフです。
ゴルフの本質は、「他人が決めたルール」を「自分で勝手に守るゲーム」だと考えています。
スコアの計算方法はもちろん、「襟のついたシャツを着る」「クラブを2,3本持って走る」「バンカーの砂をきれいにならす。グリーンの穴は埋める」「人がアドレスに入っているときに喋らない」など等、多くのルール(マナー)がある。
そもそも、
(1)止まっているボールを 非線対称の道具で打つ
(2)対戦相手との攻守ではなく各自がプレイ
(3)審判がおらず 得点は自己申告
など、メジャーな球技でゴルフだけです。
これらの"他者が決めた窮屈なルール"を遵守するから、面白さ、興奮度が増す。「何度でも打ち直していいよ。スコアも好きに書いて」と言われたら、ちっとも楽しくない。「制約があるから面白い」の見本のようなスポーツです。
◆ルールは 一にシンプル、二に公正。
ルールはシンプルなほどいい。思いどおりにならず、難しいから面白い。他者の決めたルールを守るからエキサイトする。ゴルフも、ポーカーも麻雀も、生き残って支持されている"ゲーム" すべてに当てはまります。
決まり事・制約事項があって、現在の自分たちには難しいから、悩みもすれば成長する。ゲーム、スポーツと同じく、勉強・学びもそうだと、刻まれるできごとがあり、関連して思い出したことを書きとめてみました。
冒頭の「ダビスタ」のプレイヤーの間での"敬意が払われる順"として、
ゲーム内のレースで勝つこと < 人間どうしの戦い(最強馬決定戦)で勝った人 < 最強馬の生まれやすい配合を考え出した人、
という共通認識があります。
最強のプレイヤーは偉い。それよりなお、仕組みを編み出した人が偉い。つまり流派の創始者や、胴元が生態系の上位にいる。ビジネスや学問、賭け事そのほかと、構造がよく似ています。
なにか新しい価値を作り出した人が良い目をみるのは当然だと考えています。
Facebookの思い出機能で、5年前の今日をみると「ディープインパクトが亡くなった」というニュースのメモでした。後出する書籍のタイトルにもある「サンデーサイレンス」という種牡馬の子どもです(2019年7月30日没)。
競馬というシステムは、「実績のある種牡馬」に多くの生産者が殺到する世界で、「ある特定の馬の血がその国のサラブレッドの大半にいきわたる→生物学的に脆弱になる→また違う血統の種牡馬が台頭する」を歴史上繰り返しています。
ドキュメンタリーを読んだことがあり、非常に面白い本でした。
最後までお読みくださりありがとうございます。
『競馬の血統学: サラブレッドの進化と限界』(NHKライブラリー)
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