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vol.172「上司の仕事の一つめは『行動についての約束を守れること』。」
何年か前の「夏休みの読書」から、引き続き。
現代の、軍隊とかではない普通の「組織」に置き換えられるか、考えてみました。
◆メンバーから最低限信用される条件。
当時の読後メモより抜粋。
・学んでフィードバックする機能を有しているか
・目指す進化の方向を間違っていないか
・自己批判的な学習ができているか
・結果責任と人情といずれを優先しているか
・本部は現場の状況を把握しているか
・機能と属人を切り離しているか
など、どこにでもあてはまる要素。
なかでも「フィードバックする仕組みを作れているか」「自己批判的な視点を持ち合わせているか」が、いちばん重要なキーだと思う。
上司が、部下(組織の構成員で、指揮命令系統の下位側にいるメンバー)から、信用されるポイントを単純化すると、
1.状況を把握できること
2.交渉ができること
の二つだと考えました。
ここでいう「信用される」は、「信頼される」や「人望を得る」の下位互換、ぐらいのニュアンスです。
◆状況を把握できること。
「状況を把握」できるための行動はいくつかに分解できます。
・メンバーの話を聞く
相手の話をさえぎらずに最後まで聞く。聞いた内容の確認ができる。不明な点の質問ができる。メモを取る。感想・所感を言える。フィードバックできる(良いと思った点、気になった点)。
・情報収集する
メンバー=一方の当事者 の話だけでなく、相手側や関係者からも情報収集する。「取材」できる。フラットに聞く。クローズドクエスチョンとオープンクエスチョンを使い分けることができる。
・事実と主観を分ける
関係者から"取材"したら、事実なのか主観なのか区分する。取材時に「それって主観か事実かどちらか」「定量的に言えるか定性的なものかどちらか」「検証が取れてるか感覚か」等、確認してもいい。※表現方法、言い方の工夫をすれば聞ける。
・メンバーの意図を理解する
メンバーが、「上司に何をしてもらいたいか」「何はしてほしくないか」「自分に任せてほしいか」「どこを褒めてほしい(労ってほしい)と思ってるか」を理解する。
・「行動すること」に変換できる
具体的な行動(作業)に変換できる。ここでも「行動に置き換えてみた=こういう行動を起こすのだと考えたが認識合うか」とメンバーに確認する。
このなかでは、
①メンバーがどう思っているかを、予断をはさまず確認する、
②迎合するのではなく複数の相手から事実確認する、
が案外難しい。
「上司=聞かなくても理解してる(知っている)べきものだ」「上司=正しい判断をくだすべきものだ」という勘違い、または過去の成功(かどうか怪しい)体験やプライド体面が、強力に邪魔をするからです。
◆「交渉」ができること。
・上位者に対して交渉ができる。
上位者に対してものが言える。言ってることが理解できなければ確認の質問をする。間違ってると思ったら反論する。解けない宿題を持ち帰らない。または持ち帰って返してから再依頼、ではなく宿題と引き換えにその場で再依頼する。物申して「みんなのヒーロー」ぶれば良い、というわけでもないので要注意。
・関係者に対して交渉ができる。
利害関係者に対して交渉ができる。メンバーの「勝ち取ってほしい順位」を確認しておく。そのほか準備してから交渉に臨む。思いつきで喋らない。ゼロ回答で帰らない。
・結果をフィードバックする。
交渉結果、経緯と結論、そう判断した根拠をメンバーへフィードバックできる。その結論で次へ進められるかを確認する。難色を示された場合、再交渉するか打ち切るかを判断する。判断したらその説明(フィードバック)をする。
特に、「上級上司のイエスマンにならない、梯子を外さない、戦う/簡単に引き下がらない」は、たぶん百年単位ぐらいで変わらない。「上司に求める行動のトップ3」に入り続けている項目だろうと想像します。
◆自分の意思だけでできるから難しい。
状況を把握する、交渉ができることは、前述のように、せいぜい「信用される」必要条件。これは自身の経験(うまく行った・失敗した)を振り返ってもそうです。
そこから、「メンバーと対等に話し込めるほど知ってる(勉強する)」「ほかの上司ができないことをする」「継続する、一貫時続ける」「人間的魅力がある/誠実である謙虚である」等が積み上がると、信頼される・人望を得る、へと昇華する。
今と後日とで言うことを違えないこと、交渉してみると言ったのなら実行すること、でもあるので、別の一言に集約するなら
「行動についての約束を守れること」
と言い換えてもいいかもしれません。
結果ではなく行動についての約束。自分の意思だけで出来ることのはずだけど、けっこう難しい。
ひとつには、管理監督するのが自分自身であること。さぼろう、先送りにしようと思えばできてしまうから。
ひとつには、メンバーや関係者に対してもっともらしい言い訳を並べることはできても、嘘をついたかどうかは自分が知っているから。
自分をだますことは他人をだますより難しい。
過去に何十回か何百回か実体験して、痛感していることです。
先の堀悌吉や井上成美の例もそうだけど、人から評価されたい、信用信頼されようと思ったら、
「魔法や超能力ではないけど、実践・継続が難しいことをやれるかどうか」
かなと考えています。
最後までお読みくださりありがとうございます。
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