まずはリテラシーからはじめよう
こちらは Product Manager Advent Calendar 2019の4日目の記事です。
「プロダクトマネージャはどうすれば育つか?」が自分の最近のテーマなので、今回はそれに関連したスキルとリテラシーの話を書こうと思います。
最近ではプロダクトマネージャのスキルが言語化されているので、PMトライアングルについてはご存知の方も多いと思います。
※PMトライアングルをご存知ない方はこちらを参照↓
また、プロダクトマネージャに必要なテクニカルスキルを定義しスコア化するこちらの記事も話題になりました。
これらの記事を見て、「開発とデザインとビジネスのスキルを身につけるぞ!」と、みんなが出来ればいいのですが、現実的にはすべてのスキルを同時に身につけるのはなかなか難しいです。とくに初めてプロダクトマネジメントに取り組むとなると、こんなにハードルが高いのか…と思う人が多いかもしれません。
ただ、実務をこなす上でPdMは開発・デザイン・ビジネスの領域のプロフェッショナルとの対話が必要なのも事実。何も知らなくていいわけではありません。
まずはリテラシーからはじめよう
そこの差分をどう言語化するかをずっと悩んでいたのですが、最近Takramの田川さんが書かれている「イノベーション・スキルセット」という本の一説を読んで、すっきり言語化できました。
「ひとつの専門性を追っていくだけでも大変なのに、2つ目にどの程度時間が割けるのか?どのレベルを目指さないといけないのか?」たしかに、スキルレベルで長期間にわたり複数分野を追いかけるのは大変で、継続不能ではないかという気分にもなります。そこで、まずはハードルを下げて考えていきましょう。 BTCの思想でいえば、最終的にはチ ームワ ークでそれを実現できれば、それでも全く構いません。分業やサイロによる悪影響を回避して 、ユーザーに向き合ったものづくりが組織的に展開できれば、それでよいのです。つまり、複数の専門分野のあいだのコミュニケ ーションがなめらかに行える状況の実現が大切ということです。その意味では、第二の専門分野については「スキル」というレベルではなく「リテラシー」というレベルを目指すのでも構いません。
- イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き -
いきなり実務をこなせるスキルを身につけようとするのではなく、まずはリテラシーを身につけるレベルを目指せばいいのです。
リテラシーとは、実務をできる必要はないが「その分野の人が考えていることを理解・解釈し、ディスカッションできるレベル」くらいを目安にしています。
実際に私自身もエンジニアからPdMの仕事をするようになったので、デザインを自分で作ることは出来ませんが、デザイナーさんと議論できるレベルのリテラシーを身につけることで乗り越えてきました。
スキルとリテラシーを使い分ける
いきなり幅広いスキルが必要です、と言われるとどこから手をつけていいかわからなくなりますが、
1. 自分のスキルを棚卸する
2. スキルが無い部分のリテラシーをまず身につける
3. 実務を通してスキルを身につけ、伸ばしていく
の順番でキャッチアップを進めていきましょう。
大事なのはスキルとリテラシーを分けて考え、焦らず戦略的に伸ばしていくことです。
どうやってリテラシーを身につけるのか?
やはり体系的に知識を身につけるなら読書が一番の近道でしょう。人に教えてもらう前に、その分野の人たちがどんな背景知識の上で議論しているかを知っておくことは重要です。
個人的に参考になった書籍をまとめようと思ったのですが、広木大地さんが Engineering Manager Advent Calender 向けにまとめたこちらのブログが圧倒的なわかりやすさで広い範囲を網羅していたので、こちらを参照することをおすすめします。
また、キャッチアップしたい分野のカンファレンスに出てみるというのもオススメしています。その分野で今どんなことが話されているのか?温度感や必要な背景知識などを短時間で知ることができるからです。
たとえば、私はbtrax社の主催している Design for Innovation というイベントに2016年から参加して、当時流行りつつあった Design Thinking などの知識を身につけながらデザインの話題に馴染んでいったりしました。
プロダクトマネジメントを始める時、いきなり未経験のスキルを身につけようとするのではなく、まずは専門家と会話できるレベルのリテラシーを身につけることを目標にしましょうというお話でした。
※Takram田川さんの「イノベーション・スキルセット」は、直接PdMの話をしている訳ではないのですが、別の角度でテクノロジー・デザイン・ビジネスの越境について語っているので興味があれば是非一読してみてください。
広木さんはエンジニアリング、田川さんはデザインの世界から越境の話をされているのは非常に面白い流れですね。
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