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【人事に効く論文】360度評価はパフォーマンス向上にどうつながるのか?
Smither, J. W., London, M., & Reilly, R. R. (2005). Does performance improve following multisource feedback? A theoretical model, meta‐analysis, and review of empirical findings. Personnel Psychology, 58(1), 33–66.
1. 10秒で分かる論文の概要
360度評価に関する24の先行研究をメタ分析した論文です。その分析結果に基づき、360度評価の結果がどのようにして本人のパフォーマンス向上につながるのか、下図の理論モデルが示されました。
![](https://assets.st-note.com/img/1711846960166-GFjWPUYa9q.png?width=1200)
2. 私的な解説/感想
モデルを貼り付けるだけでは不親切かなと思い、モデルを構成するそれぞれの要素について論文での定義や内容を紹介しますね。
Characteristics of the feedback フィードバックの特徴
簡単に言うと、フィードバックの内容が本人のとってポジティブなものか、ネガティブなものか、です。
Initial Reactions to Feedback フィードバックへの初期反応
フィードバックに対する本人の初期反応がネガティブなものだと、その後のパフォーマンス向上は望めません。
また、初期反応がポジティブなリーダーは、1年後、直属部下からの評価が向上したそうです。
Feedback Orientation フィードバック志向性
本人がフィードバックを求め、成長につなげようとする度合い。
Personality 性格
本人の性格が、フィードバックに対する反応に影響します。
例えば、
感情的安定性:フィードバックを活かすモチベーションと正の相関がある。低い場合、評価結果が芳しくなく、フィードバックに対してネガティブな感情(怒り・不満・落胆・失望)を露わにしがち
外向性:追加的なフィードバックを要求することと正の相関がある
誠実性・経験に対する開放性:パフォーマンス向上と正の相関がある
責任感:フィードバックを利用する義務があると感じる
性格的不信感:フィードバックを活かす態度と負の相関がある
のだそうです。
Beliefs About Change 変化に対する信念
変化が可能と信じているか否か。自己効力感、暗黙のパーソナリティ理論 (implicit personality theory)、 組織的冷笑(organizational cynicism)などが変数の例。自己効力感の高いリーダーは、フィードバック後、行動を変えようと試みる。また、組織的冷笑は低い方がパフォーマンス向上につながる。
Perceived Need for Change 知覚された変化の必要性
変化の必要性を認識することで、パフォーマンス向上の目標を設定し、行動を起こす可能性が高まる。
Goal Setting and Related Constructs 目標設定
フィードバックだけでは行動変容につながらない。フィードバックに応じて設定する目標が重要。
Taking Action 行動
パフォーマンス向上は、フィードバックを受けた人が適切な行動につなげた場合だけ。
3. 読後の余談
360度評価は成長につながりづらい。そのことがよく分かる論文でした。上記で紹介したとおり、フィードバックとパフォーマンス向上の間には様々な要素があり、それらがうまく機能する必要があるからです。あなたの会社の360度評価、本当にうまくいってますか?
2024年8月20日 初稿作成