手っ取り早く企業に広く詳しくなる方法
近頃はNotion沼にハマってしまっており、久しぶりのnote投稿です。
今回はいつもと趣向を変えて、タイトルにもある通り手っ取り早く企業に詳しくなる方法について2つほど書いています。
本に書いてあった方法などではなく、自分で見つけた方法なので、なぜ発見するに至ったかというストーリー形式で語っていきます。
「君のストーリーなんて興味ないよ!」という方のために末尾に具体的な方法のみを記載しておきましたので、お急ぎの場合はそちらからご覧ください。
ここで紹介する方法は私自身がここ数週間かけて検証してきたので、ある程度自信を持って執筆しています。n=1ではありますが、再現性はあると思いますので目を通していただけたら幸いです。
それでは少々長いですが、以下からどうぞ。
発見に至った経緯その①
私は従来の決算カレンダーに不満を持っていました。
私はかなりの面倒くさがり屋で、証券会社や日経新聞の決算カレンダーを都度見に行くのが非常に億劫に感じていました。そのため、フォローしている方が四半期業績などをツイートしているのを見て気づくということが恥ずかしながら多々ありました。
しかし受け身な状態で決算説明資料を見に行ったところで、情報の渦に飲み込まれてしまい、決算の良かった点・悪かった点を洗い出すなんてことは不可能です。
「もっと積極的に決算を見なきゃいけないが、面倒なのは正直嫌だな.......」
そこで思い立ったのが、決算スケジュールを教えてくれるLINE botの作成です。
私は楽をするための手間は惜しまないので、早速開発者用のLINEアカウントを開設し、2時間ほどパソコンの前で格闘してみました。
botの作成くらいなら、エンジニアではない私でもQiitaを見ればなんとかなると思っていたのですが、思ったより苦戦し、そうこうしているうちにある思いが頭をもたげてきました。
「これTwitterでよくないか?」
そしてTwitterでもまったく問題ないことに気づき、Twitterで決算スケジュールを垂れ流すアカウントを作ることにしました。
その名も決算スケジュール。そのまんまです。
ところで、これは個人的な課題なのですが、正直に申し上げて私はまだまだ企業のことを知りません。
名前を聞いたことがある企業はたくさんあっても、ひとことで事業内容を説明してくれと言われると答えに窮する場合の方が多いと思います。
私が決算スケジュールを作ったのは決算を見逃さないようにするためだったのですが、決算スケジュールを作り上げていくことがこの課題に対する思わぬ解決策になることに気づきました。
というのも、企業のことを広く知らない今のままの状態では、他人様に主要な決算スケジュールを教えると言っておきながら全然主要とは言えない企業を紹介してしまう可能性があります。
そんなことは絶対に避けたいので、最低でも事業内容、時価総額、売上、利益率の推移を調べてからスケジュールを作っているのですが、これが驚くほど効果的なのです。
儲かるビジネスに対する勘が鍛えられるのはもちろんのこと、時価総額100億円以下のような隠れた優良企業を発見するなんてこともよくあって、自分で決算スケジュールを作っていくのは単純に学習方法としても優れているのです。
こうして、企業に広く詳しくなる方法その①を編み出したというわけです。
正直、スケジュール作成自体はかなり手間のかかる作業なのですが、作成プロセスでかなりの量の情報を得ることができるので今後もどんどん更新していく予定です。
発見に至った経緯その②
こちらの方法は経緯その①ほど長くないのでご安心ください(笑)
非常にタイムリーだったのですが、決算スケジュールのアカウントを開始して1週間後くらいにタイムラインにこんな記事が流れてきました。
かいつまんで話すと、DI元社長がそのキャリアにおいて最大の武器になったのが四季報を丸暗記していたことだという記事です。
丸暗記の手段として写経をおすすめされていて、「BCG→DI社長という国内でも屈指のコンサルタントがそんな泥臭いことをやっていた。それに効果も保証されている。じゃあ僕もやるか!」という半ば軽いノリで始めました。
ここ数週間試してみた感想としては、「かなり苦しい、しかしかなり為になる」といったところです。
正直面白みには欠ける作業なので、精神的に挫折しそうにはなります。(情けない私は数日作業から離れたことがあります....)
しかし数週間経つとTwitterで見かける企業数が増えたように感じるのです。
もちろん増えてなどいないはずで、これは自分の中の企業アンテナとでも言うべきものがより高く張り巡らされるようになっているということなのだと思います。
この状態になれば、これまで目の前をただ通り過ぎて行っただけの文字の羅列が一気に情報の山へと変わるのです。
そしてこの正のフィードバックループは今後数十年間作用するので、やるなら今この瞬間が最高のタイミングなんです。
ここまで気づいて、確かに苦しいけれどそれ以上に価値のある作業だと私は感じました。
そして例によって例のごとく、私は自分1人のためだけにインプットするとなるとどうにもモチベーションが上がらないので、今回も四季報写経を少しでも他の人の役に立てようという気持ちで別のアカウントを作成しました。
それが中国企業手帳(@Chinese_company)です。
中国企業手帳は、四季報写経を通じて把握した中国上場企業の事業内容と業績を簡単に解説し、類似企業まで掲載しているアカウントです。
#中国企業手帳 でTwitterを検索すればズラーッと中国企業の解説ツイートが並ぶようになっています。中国企業版のデジタル単語帳と思っていただけるとわかりやすいと思います。
こちらは決算スケジュール以上に日の浅いアカウントなのでまだまだ掲載企業数は多くありませんが、短時間で中国企業をインプットするにはなかなか良いUIなのではと思っています。
こちらももちろん今後とも更新していく予定です!
方法まとめ
長くなったのでまとめます。
今回のnoteでご紹介した「企業について広く詳しくなる」方法は2つです。
以下ではその具体的な方法をご紹介しています。前述の部分を読まれた方には繰り返しになる部分もありますが、ご了承ください。
証券会社が開示しているカレンダーには平均して1日あたり10社以上が掲載されています。そのなかからたとえば5社抜粋して自分のスケジュールに書き込みます。(=再構成する)
このときに自戒しておきたいのが、今回の目的は「企業について広く知ること」なので、知らない企業でも軽く調べてみることです。案外、地方のガリバー企業だったりして面白い発見をすることもあります。
そしてこの「軽く調べてみる」段階で非常に強力な味方になってくれるのがバフェット・コードです。
5分あれば会社の沿革から時価総額や業績の推移、大株主の構成くらいまでなら調べられます。
10分使えばBSの特徴を洗い出すこともできます。
30分使えばそのまま開示資料のページに飛んで、がっつり決算スライドを読み込んで市場規模や直近の取り組みまで調べることができます。
どこまで踏み込むかはお任せするとして、このプロセスを通じて自分なりに面白いと思った企業が出てくるはずです。(もちろん日によれば該当する企業がない日もあります)
あとはその会社を自分だけのスケジュールに書き出してあげればOKです!
ちなみに、ここまではあくまで下準備に過ぎず、ここで終わってしまったら本末転倒です。(なまじ満足感がある作業なので気を抜かないように注意しましょう)
最新決算を確認するために下準備として最低限の知識をここまでで仕入れたので、あとはスケジュールどおり最新決算をチェックするところまでやります。
特に最近はコロナが追い風なのか逆風なのかが如実に決算に現れるので、持続性のあるビジネスなのかどうかを見極めるためにもしっかりやり切りたいところです。
最後にもう一度手順をまとめると次のようになります。
つづいて2つ目の方法です。
文字通り、四季報を写経しましょう。
四季報は国内の投資家なら知らない人はいないであろう投資情報誌で、全上場企業の四半期業績が見開き4社というわずかなサイズで掲載されます。
国内の投資家すべてに見られる可能性があるなかで、その小さなスペースに収まるように推敲に推敲を重ねた文章は、各社の現状を最低限の文字数でこの上なく上手に表しています。
特色・業績欄・材料欄・仕入先・販売先など宝の山ばかりで、時間をかけて書いて覚えるだけの価値はあります。
本当に写経をするだけですが、詳しく気になる方はこちらのnoteもご覧ください。
冒頭でこの方法はn=1だと述べましたが、実は四季報写経に関してはn=2でした。(それも大変強力な)
このnoteの著者の元DI代表取締役山川さんはSIer→BCG→DIというキャリアを歩まれていますが、SIer時代にひょんなことから四季報を10年分写経することになったそうです。
狙っていたわけではないものの、のちにハーバード卒などのエリートばかりが集まるBCGでご自身の最大の武器になったのが、この四季報写経を通じて得たビジネスの引き出しの多さだったとのことです。
このnoteはたまたまTwitterのTLで発見したのですが、見かけた瞬間これだと思い、それ以来真似をさせていただいています。(とはいっても最近のことですが)
私はNotionで1社ごとにページを作りテンプレートに沿って写経していますが、やり方はそれぞれにあった方法にカスタマイズして問題ないと思います。
せっかくなので「Notionで四季報写経のすすめ(仮題)」というnoteを出そうと思いますので、宜しければ参考にしてください。
(追記:12/8)
さっそく四季報写経のすすめを執筆してみましたので、どのようにページを作成しているのか気になる方は見てみてください。
最後に
以上がここ1ヶ月で私自身が試してみて成果の上がった、「手っ取り早く企業に広く詳しくなる方法」です。
具体的な方法は2つです。
①自分で決算スケジュールを作る
②四季報を写経する
たったこれだけで抜群に事業に詳しくなります。
「手っ取り早く」という言葉から1ヶ月で上場企業に精通する方法と思われた方もいるかもしれませんが、そんな方法はありません。
ただ、上場企業なら決算を必ず出します。
ということは、1年あれば全上場企業を調べることが可能だということです。
もちろん半年で全上場企業を調べることができる方もいるかもしれませんし、そもそも全上場企業を調べる必要はないかもしれませんが、1年あれば全上場企業を調べることは十分現実的だということです。
長いキャリアを考えてみると、十分手っ取り早い方法だと私は思います。
そして上記の2つの方法に加えて、(今さら私が言うことでもありませんが)Twitterやnoteでアウトプットするとさらに記憶に定着しやすくなります。
「①の過程で見た決算スライドに面白い市場規模のグラフがあった」
「②の写経の過程で見かけたあの大企業の仕入先はかなり意外な会社だった」
なにも深い洞察でなくても、上記のような面白い発見をアウトプットしていくだけでも力になるのはもちろん、人に教えるというのはモチベーションの維持にも役立つのでおすすめです。
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最後になりましたが、今回登場した4種の神器を紹介して終わりにしたいと思います。
まずは1つめ。バフェット・コードです。
私のTwitterをフォローしていただいている方ならバフェット・コードを知らない方は少ないかもしれませんが、忖度なしに素晴らしいツールです。
SPEEDAやBloomberg端末が使えない個人にとっては、これがあるかないかで作業時間は1日あたり数時間変わってくるといっても過言ではありません。
最近特におすすめなのが「開示資料」のページです。
国内上場企業の四半期ごとの開示資料がここで見れるんです。わざわざ「任天堂 決算説明会資料」なんて検索する必要はもうないんです。
気になった企業はそのまま業績ページに飛んで財務諸表のチェックだってできます。
この機能ももちろん無料です。
2つめ。四季報です。
こんなにコンパクトに企業情報が凝縮されたメディアは他にないので、写経をやり切らずとも側に置いておくのは必須だと思います。
中国株二季報は見たことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、これがまたなかなか面白いんですよ。
中国はよく世界の工場と言われ、大企業は中国で生産してから輸出入しているのは周知の事実ですよね。
ではNIKEのOEM先はどこでしょうか?その会社の収益性は?
そんなことがわかるのが中国株二季報なんです。サプライチェーンのなかでも上流にあたる「生産」の部分を知れるというのはなかなかに知的好奇心を満たすものがあります。
もちろんBATをはじめとした中国IT企業の情報も満載なので、網羅性にも優れています。
ちなみに四季報の用語は独特な使い方をされていて、たとえば「均衡圏」という言葉は中立というより若干マイナスな意味で使っているそうです。
これを機に上記の公式ガイドブックで正しい定義や使い方を確認してから通読に挑むのが良いと思います。
最後はまとめて紹介します。3つめと4つめ。決算スケジュール(現:企業ライブラリー)と中国企業手帳です。
こちらは神器というにはあまりにおこがましいですが....笑
私が自分の勉強もかねて最近開設した2つのTwitterアカウントです。
特徴としては以下のようになっています。
(2022/08/01追記)告知
最近こんなサイトを作りました。
これを書いた当時はNotion沼にハマってました(冒頭参照)が、最近はオーディブル沼にハマってます。キクドクはオーディブル好きのためのサイトです。リリースnoteも書いたので、もしよかったらご覧ください!