ライフハック侍、足掻いて候
「心がこもっている」ということは、日常生活でも職場でもとにかく礼賛されています。マスプロダクトの製品よりも手作りがよいと人はいい、職場ではとかく「作業思考」はよくない、といわれます。効率が大事な職場ですら、ちょっと効率的なことをしようとするとこのように批判される昨今です。
「ライフハック」というのは究極的には、考えることや無駄なことを減らし、その分を本当に重要なものに振り向けようとする行為です。それは、心や手作りが大事、というこの風潮とは真っ向から対立します。
「手帳」ひとつとってみてもその違いは如実に現れます。ハタから見れば、無愛想にタスクのみが黒一色のボールペンでがりがり書いてある100円ショップの手帳より、カレンダーに写真とかがかわいく貼ってあって、色とりどりのフリクションペンでいろいろ思い出が書いてあるほうを「素敵!」と思うでしょう。
そういう手帳はたしかに自己肯定感とか創作欲とかは満たしてくれますが、しかし、「限られた時間内に効率的にタスクをこなすサポート」という機能は皆無に等しいです。そして、いざというとき、仕事がうまくいくのはあきらかに前者を使っている人でしょう。
僕は作業思考とか効率化とか、まったく肯定派です。大事なのは「結果がうまくいくかどうか」であって「いかに心を込めるか」ではありません。とくに仕事というシーンにおいては。そして、人は多かれ少なかれ、風流を捨てて効率化を図らなければやっていけないのです。だから僕はその日、同じ職場に出勤する同僚にも、伝達事項を覚えておくリスクを避けるためにメールでその内容を思いついたそばから送ってしまうし、モレスキン1冊ではなくその20分の1の値段のダイスキンを20冊買うほうを選ぶのです。
僕は親がお金持ちでもなく、学歴もありません。そして特にお金になる技術もありません。しかしゆくゆくはお金持ちになりたいし好きなことをして食っていきたい。ならば、どこかで効率を稼ぐしかありません。そのためのツールが節約とか効率化とか、金にならない仕事は受けないというポリシーなどを含めた「ライフハック」なのです。「風流」ポルノに背を向けて僕は今日も無粋にライフハックをし続けます。