富楽百景#1:人吉
ふと人吉に行こうと思った。最初に浮かんだのは人吉城と相良氏だった。「信長の野望」をやっていたせいか、南肥後の戦国大名といえば相良氏だ。そうか人吉城いいじゃないか。
早速グーグルマップで人吉城の位置や資料館的なものの確認していたら、さらに別の分野のモノまで発見した。「川上哲治記念球場」と載っている。そうか川上哲治って人吉出身か。記念球場か。
こうして自身の二大趣味といっていい歴史とスポーツの両方を味わうことのできる一石二鳥の観光地。人吉へとふらっと出かけた。
人吉駅で自転車をレンタルし、いざ出発。せまい坂道を抜けて看板が見えてきた。川上哲治記念球場だ。
球場に着いたとき、中ではちょうど高校野球部(片方は県外)による練習試合が始まるタイミングだった。グラウンド、ベンチの声が響く中、球場の正面入口へ。展示があった。
2000本安打記念トロフィー、MVP記念トロフィーなど、野球殿堂博物館に置いてあってもおかしくないような品物がたくさん。
川上哲治に関するパネルかなんかがあるぐらいと思っていた手前、展示があることに驚き。しかも模造品ではない。予想外の収穫に気分も高揚。せっかくだからとちょっと練習試合を観戦。
8月半ば、おそらく新チームになって間もない練習試合だろう。球場には野球部員、父母、審判、地元のおじいちゃんなど50人ぐらい。球場の8月スケジュール表を見ると半分ほどが高校野球部や大会のために使用されている。今月以外も毎日とまではいかないが、多くの日が野球関連で使用されるのだろう。
試合は、初回から後攻チームの打者一巡の猛攻による大量得点が生まれた。ベンチからは掛け声、父母からは悲鳴やため息がこぼれる。それを見たバックネットで観戦する地元のおじいちゃんはなにやら笑みを浮かべる。観戦は2回裏で終えた。なぜなら人吉城を観に行かねばならないから。城巡りは時間がかかる。
再び自転車に乗り、野球に関わる一切の音が遠のいていく中、自分のような人間が来訪する「観光地」として以上に、「野球場」として川上哲治記念球場は在る、ということを強く感じた。
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