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間宮兄弟

久しぶりに読み返した江國本の記録です。
(私は江國香織さんの作品に愛を込めて江國本と呼んでいます)
私にとっての江國作品は別で記録していますが、
今回は1つの作品について。

最近インフルエンザ自宅療養中に読み返した作品は2004年初版の「間宮兄弟」。
いやはやこの作品が世に出てから20年が経つんですね…。
昔、佐々木蔵之介さんと塚地さんで映画化もしていた作品です。
すみませんが映画は見ていません。

我が家の数ある江國本コレクションの中でも
どちらかというと頻繁には読み返さない作品ですが
ふと思い立って久々に読んでみました。

江國作品は大抵の場合主人公が女性ですが
本作は男兄弟が主人公。
それも、容姿は褒められたものではなく
育ちは良いですが性格もまぁまぁ厄介目な2人。
今で言う、"陰キャ"でしょうか。
悪気のなさや実直さ、ズレているという自覚のなさも
江國さんらしい描写がされています。

そんな2人の日常を描いているのですが、
他に登場するのが
兄弟の母、
大学生と高校生の本間姉妹、その姉妹の彼氏、
そして兄の会社の同僚であるモテ男とその不倫相手、モテ男の妻です。

30過ぎの非モテ兄弟とは対照的に
若くて未来があって前向きな学生の姉妹が描かれるのも面白いのですが、
そんな姉妹の姉が、
社会人になっても妹とこんな風に遊べるだろうかと思う場面で
「間宮兄弟を見てごらんよ。
いまだに一緒に遊んでるじゃん。」という妹の言葉に
風変わりな兄弟を良い意味で捉えられる姉妹の良さが出ています。

あとは個人的にこれぞ江國さんという関係性を描いているのが、
兄の同僚のモテ男、不倫相手、同僚の妻です。
特に同僚の妻の
かつて愛し合っていた人から一方的に別れを切り出され、
傷つけてやろうと思ったのに自分が深く傷ついていることに気付くという心情は
数々の不倫作品を描いている江國さんならではでぐっときます。

そして非モテの兄はそういった女性の心をただひたすら
「恐すぎる」と表現するのもまた面白いです。

個人的には兄弟の母がとても好きです。
お金持ちの余裕と息子へも真っ直ぐな愛に憧れます。
そんな風に生きられたら素敵です。

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