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『紫式部集』(原文と地名)

 はやうよりわらは友だちなりし人に、年ごろへて行きあひたるが、ほのかにて、十月十日のほど、月にきほひて帰りにければ、
(1)めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに
     雲がくれにし 夜はの月かげ
 その人、とほき所へ行くなりけり。秋の果つる日きたるあかつき、虫の声あはれなり。
(2)鳴きよわる まがきの虫も とめがたき 
     秋の別れや 悲しかるらむ

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