『全領域異常解決室』の「神隠し」と「黄泉送り」の設定
1.「神隠し」
神は人間に宿り、宿った人間が事故、病気、老衰などで死ぬと、神の魂は生まれたばかりの赤ん坊に宿る。こうして神は古代から生き続けてきた。
しかし、「事戸渡し」をされ、神としての記憶を消された上で宿った人間が殺されると、その神は消滅するという。これを「神隠し」という。「神隠し」された神は、衣服や持ち物を残し、肉体は消滅する。
全国にはA神を祀る神社が多くあるが、古代から存在したA神がいなくなるのであるから、これは大問題である。
2.「黄泉送り」
神が罪を犯した場合、出雲、京都、伊勢、東京の局長が集まっての会議で審議され、有罪の場合、「あらゆる世界の境を守り、この世と黄泉の国を繋ぐ門である「黄泉戸」も守っている」天石戸別神によって「黄泉送り」にされるという。
■佃未世(月読命)の場合
1.「神隠し」
「事戸渡し」を行った佃未世は、ナイフによる刺し傷から大量の血液が流れ出て失血死した。「事戸渡し」から絶命までの間、スマホの娘との写真を見ていた。「事戸渡し」によって自分が神であることの記憶は消えたが、人間(母親)として生きた記憶は残っているのだろう。ただ、これは、「完全に人間になった」ということではない。なぜなら肉体が消滅したからである。完全な人間であれば、死んだら遺体は残る。肉体が消滅したのは神だからである。
佃未世の「肉体が消滅した」というのは、「「神隠し」により神として死んだから」であり、魂は(肉体を離れて赤ちゃんに宿ったのではなく)まだ「事戸渡し」をされた肉体から離れていないことになる。そして、「事戸渡し」をされた後に殺されたので、肉体と共に魂も滅んで、月読神は消滅したのである。
ということは、「事戸渡し」をされても、魂を揺さぶれば、神の自覚が再び芽生え、特殊能力も使えるようになると思われる。
2.「黄泉送り」
「黄泉送り」がどの様なものか(途中で警察に邪魔されたので)分からない。
魂のみが黄泉国へ送られるのか、肉体と魂が黄泉国へ送られるのか?
天石戸別神こと興玉雅が、
「そのまま目をつむってください。次に目を開けた時には黄泉の国です」
と言っているので、魂だけではなく、肉体も黄泉国へ行くように思われるが、
「何十年、何百年、罪を償えば、こちらの世界に戻れるよう、私から働き掛けをします」
とも言っている。人間の肉体は何百年ももたないと思うが、黄泉国にいる間は不老不死になって、もつのだろうか?
■黄泉国
『全領域異常解決室』の少名毘古那命は現世にいるが、日本神話では黄泉国にいるとされる。
その黄泉国はどこにあるのか、少名毘古那命に直接お尋ねすると「海の向こう」ではなく、「地底」とのことである。(海の向こうにあるのは「常世国(ニライカナイ)」。)
少名毘古那命は「地底人」なのか?