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「全領域異常解決室」(第1話)「シャドーマンと神隠し事件」

 2024年秋のフジテレビ「水10ドラマ」は、不可解な異常事件を「全領域異常解決室」という捜査機関が解決していく1話完結型本格ミステリードラマ(完全オリジナル)です。
 これまで『ガリレオ』(2007年~)や『ミステリと言う勿れ』(2022年~)といったミステリードラマを手がけてきたフジテレビ───今回も期待できそうです!

 私のイメージでは 日本版の
・モルダーとスカリーの『X-ファイル(The X-Files)』(1993年9月から放送されているアメリカのドラマ。シリーズは第10シーズンまでで208話)
・『アストリッドとラファエル 文書係の事件録(Astrid et Raphaëlle)』(2020年3月から放送されているフランスのドラマ。第5シーズンが撮影中)
ですが、多分、『ガリレオ』のような感じになるでしょうね。(視聴者に情報を提供しておいて、ラストで興玉雅が一気に解決するパターン。)


 2022年7月、「DoD」(United States Department of Defense、米国防総省。略称::DoD、USDOD、DOD)は、「UFO」(Unidentified Flying Object、未確認飛行物体)を「UAP」(Unidentified Aerial Phenomena、未確認空中現象)と呼び、調査する機関AARO(All-domain Anomaly Resolution Office、全領域異常対策室)を設立しました。

 もしかして、日本の防衛省にもアメリカに追従して全領域異常解決室AAROが設立されたのではないか?
 そもそも平安時代には、災異や吉凶を把握するための組織「陰陽寮」があった(官人・陰陽師がいた)わけで、現在も「八咫烏」等に名を変えて存在するのではないか? 隊員は、戸籍の無い忍者ではないか?

「全決は、大和朝廷時代からある世界最古の捜査機関です。物の怪やあやかしなど、世の中を騒がせる怪現象の究明を目的に設立され、古くは陰陽師も全決の所属だったといわれています。明治政府以降、極秘裏に続き、現在は内閣官房直轄の調査機関として、いわゆる超常現象が起きた時、捜査協力をしています」(興玉雅)

 扱う内容は、「ミステリー」というより「オカルト」ですし、Zポーズの起源はムーポーズだと思うし、黒いサングラスって、『ムー』の三上編集長のまんま。これ、製作スタッフに絶対にムー民がいるよな(笑)。ちなみに、主演の藤原竜也さんは、ムー民として知られています。

■登場人物


全領域異常解決室
※本部は牛天神北野神社(東京都文京区春日)
宇喜之民生(うきの たみお)/演:小日向文世 局長(「室長」では?)。
興玉雅(おきたま みやび)/演:藤原竜也 主人公。全決の室長代理。
雨野小夢(あまの こゆめ)/演:広瀬アリス。主人公の相棒。天鈿女命。
警視庁捜査一課 ヒルコ専従班
荒波健吾(あらなみ けんご)/演:ユースケ・サンタマリア 班長。警部。
二宮のの子(にのみや ののこ)/演:成海璃子 警部補。
北野天馬(きたの てんま)/演:小宮璃央 北野天満宮! 巡査部長。
周辺人物
芹田正彦(せりた まさひこ)/演:迫田孝也 デリバリースタッフ。猿田彦
直毘吉道(なおび よしみち)/演:柿澤勇人 内閣官房国家安全担当審議官
その他
豊玉妃花(とよたま ひめか)/演:福本莉子 豊玉姫。

【名前の由来?】
 踊りが大好きな雨野小夢(あまの こゆ)は、踊る女神・天鈿女命(アマノウズノミコト)。
 雨野小夢を全決へ連れて行き、猿田彦珈琲をデリバリーした芹田正彦(せり まさひこ)は、道案内の神・猿田彦命(サルタヒコノミコト)。
 豊玉姫(トヨタマヒメ)の正体はサメであるので、豊玉妃花(とよたま ひめか)はピンクのサメのキーホルダーをつけている。


■第1話「シャドーマンと神隠し事件」


 連続して8人が「神隠し」に遭った。「神」だという「蛭児(ヒルコ)」が犯行声明を出している。
 直近の3人の犯行現場には、着衣と持ち物、2ℓの本人の血が残されていたが、肉体が無い。

 第一発見者は、犯人は「蛭児」だと主張する。
 ここで、日本神話を知らない人のために解説が入る。

これは「神生み」ではなく、「国生み」の場面ですね。肝心の柱が無い。

 イザナギ(男性神)とイザナミ(女性神)の神生みに於いて、『古事記』では、ドラマの通り、最初の神であり、イザナミから先に声をかけた事が原因で不具の子に生まれたため、葦船に入れられオノゴロ島から流されたとする。(「始祖となった男女二柱の神の最初の子が生み損ないになる」という神話は世界各地に見られる。)

 一方『日本書紀』では、「蛭児」と表記され、三貴子(みはしらのうずのみこ)のうち天照大神(アマテラスオオカミ)と月読命(ツクヨミノミコト)の後、素戔嗚尊(スサノオノミコト)の前に生まれ、三歳になっても脚が立たなかったため、天磐櫲樟船(アメノイワクスフネ。クスノキで作った頑丈な船)に乗せて流したとする。

 その姿形は不明だが、室長・宇喜之民生が食べていた和菓子(蓬入りわらび餅?)のように、もしくは蛭のように、プヨプヨかと思われる。

 大和朝廷の時代から存在する世界最古の捜査機関「全領域異常解決室」(通称「全決(ゼンケツ)」)の室長代理・興玉雅(おきたま・みやび)は、「ヒルコ」ではなく、「シャドーマン/シャドーピープル」というUMA(Unidentified Mysterious Animal、未確認動物、ユーマ)の仕業かもしれないと言う。
 さらに、「シャドーマン」は海外だけではなく、日本にもいて、影のような姿で人間に近づいて髪を密かに切る「黒髪切(くろかみきり)」は「シャドーマン」だという。

『化物尽絵巻』「髪切」
佐脇嵩之『百怪図巻』「かみきり」

 妖怪「髪切り」は手がハサミのようになっているが、歌川芳藤 『髪切りの奇談』(江戸番町で起きた怪異を知らせる錦絵)の髪切はシャドーマンに近い。

歌川芳藤 『髪切りの奇談』(1868年)
https://da.nichibun.ac.jp/item/004720306

■『髪切りの奇談』
諺に「野暮と化物なし」といへども、夫(そ)もまた奇怪珍説なきにしもあらず。頃は四月廿日の事なりしが、所は番町辺のさる御屋敷に、年ころ奉公せし女中、或夜半の頃、寝所よりおきて厠に行しに、何者共しらず真黒なるもの、突然と来りて、頭に当ると覚ゆるが否、俄に倒れて人事を知らず。此物音に驚きて人々集まり、介抱せしかば、漸正気に成たり。然るに髻(もとどり)は落て、二、三間はなれたる処にあり。其真黒なる物は猫の如くにして、恰(あたか)も天鵞絨(びろうど)のごとくなりしとぞ。是は正しき書に出たるを爰にあらはすもの也。

歌川芳藤 『髪切りの奇談』(1868年)

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