教科書解説「テストによく出る『蜻蛉日記』正月(むつき)ばかりに/なげきつつ一人寝る夜/うつろひたる菊」 2 レコの館(やかた) 2024年2月9日 21:11 ■正月(むつき)ばかりに 正月〈天曆九年〉ばかりに二、三日見ぬ程にものへ渡らむとて「人こば取らせよ」とて書き置きたる、 知られねば身を鶯のふりいでつゝなきてこそ行け野にもやまにもかへりごとあり。 うぐひすのあたにて行かむ山べにもなく聲聞かば尋ぬばかりぞなどいふうちよりなほもあらぬことありて春夏なやみ暮して、八月つごもりにとかうものしつ。その程の心ばへしも懇なるやうなりけり。■「なげきつつ一人寝る夜」「うつろひたる菊」 さて、九月ばかりになりて、いでにたるほどに箱のあるを手まさぐりにあけて見れば、人のもとにやらむとしける文あり。あさましさに見てけりとだにしられむと思ひて書きつく。 うたがはしほかに渡せるふみ見ればこゝやとだえにならむとすらむなど思ふほどに、心えなう十月つごもり方に三よしきりて見えぬ時あり。つれなうてしばし試みるほどになどけしきあり。これより夕さりつかた「うちのかたるまじかりけり」とて出づるに心えて人をつけて見すれば「まちの小路なるそこそこになむとまり給ひぬる」とて來たり。「さればよ」といみじう心憂しと思へどもいはむやうも知らである程に、二、三日ばかりありてあかつきがたに門も叩く時あり。「さなめりし」と思ふに、憂くてあけさせねば、例の家とおぼしき所にものしたり。つとめて「猶もあらじ」と思ひて、 歎きつゝ一人ぬる夜の明くるまはいかに久しきものとかは知ると例よりはひきつくろひて書きて、うつろひたる菊にさしたり。かへりを明くるまでも試みむとしつれど、とみなるめし使の來あひたりつればなむ。いとことわりなりつるは、 げにやげに冬の夜ならぬ眞木の戶に遲くあくるは陀しかりけりさてもいとあやしかりつるほどにことなしびたる、しばしは忍びたるさまにこうぢになどいひつゝぞあるべきをいとしう心つきなく思ふ事ぞ限りなきや。 4コマ文庫「蜻蛉日記 うつろひたる菊」 うた:Rinco 作詞・作曲:おこPイラスト・動画:キムセイ スグ読める!4コマ文庫名作/文化/常識/人間関係まで#4コマ文庫 #ytcreatorsjapan #Shorts www.youtube.com ダウンロード copy いいなと思ったら応援しよう! 記事は日本史関連記事や闘病日記。掲示板は写真中心のメンバーシップを設置しています。家族になって支えて欲しいな。 チップで応援する #蜻蛉日記 #藤原道綱の母 2