人聾ゲーム 参加者①視点
私は船のモーターの振動を感じながら、青空を見上げている。荒々しく冷たい風が容赦なく私の身体を撫でまわし、コートの襟首を直しながら身を縮めた。
もうすぐ12月になるという時期に、船に乗るのはおかしいと何度も思っている。手話リノベルズが手配した船には、他の参加者たちも同乗しているが全員無言である。ちらほらと視線で探り合うような何とも異様な風景。出発前にスタッフの指示で「島につくまで参加者同士の会話は控えてください」と周知されているからだ。これもゲームの趣旨を考えるとやむを得ない