麻雀との出逢い⑥
すっかり、ひとりでフリーに行くのにも馴れてきた。
でも、相変わらず俺はメチャ弱だった。
この頃の俺は、色んな雀風を試していた。ちょうどMリーグが始まり、そこに出ているプロ達の打ち筋を真似してみた。
副露を駆使した速効タイプ、手役を狙う高打点面前タイプ、攻撃力特化タイプ、守備型タイプなどなど色々試してはみたが、なにをやっても上達している気がしなかったし、負けてばかりいた。
どうやったら麻雀強くなれるのかな。
朝起きて、夜寝るまでずっとそればかり考えていた。
そんな俺にもついに強くなる転機が訪れた。
いつも通っている雀荘で麻雀大会が開催されることになった。
「まぁ、俺には関係ないなぁ」
俺みたいな底辺キャラには、お声などかからないと思っていた。
「怪太さんも大会出る?」フリーの打ち終わりに店員さんから声をかけられた。
「え、出ていいの?」
「もちろんです」
「出る!」
まさかの大会参加だ。
大会は32名の常連客で争われるようだ。俺は完全にエンタメ枠だろうけど、それでも初めての麻雀大会に心が踊った。
大会は一ヶ月後。俺は勝つために麻雀の勉強をいつも以上に励んだ。
32名参加、予選は4回戦で総合ポイント上位4名が決勝戦に進める方式だった。
普段ワイワイしている雀荘も、この時ばかり静かに張りつめたような緊張感が漂っていた。
でも、俺はなぜか今日は勝てる予感が朝からしていた。
緊張は当然していたけど、どこかリラックスして挑めていた。
一回戦でトップを取るも、二回戦はラスに落ちたが三回戦では再びトップを取る。
三回戦終了時に全員のポイント順位が発表される。
俺は次の四回戦トップを取れば、決勝戦に行けそうな位置にいた。そしてそれは、この大会に出ていたUも同じだった。
そして四回戦で、俺とUは同卓することになった。
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