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〈辻説法〉地理の勉強は面白い!
中高と僕は社会科が好きだった。
英・国もそこそこ出来る文字通りの文系なので、暗記科目ともいわれる社会が解けるのは当然といえば当然ながら、その好きが高じて歴史学を大学では専攻するほど。論説文はもとより、趣味の読書でも哲学に関心があることもあって、“公民”も嫌いじゃなかった。
だが、地理だけはあまり関心が薄く、社会科の中でもやや足を引っ張っていた記憶がある。
おそらく、こういう感覚を抱いている中高生は少なくないのではないだろうか。受験科目では必要だけれど、「地理は捨てる」とか。
いざ教師に質問しても、「○○と出てきたら、答えはこれだから」と暗記を強要するばかりで、歴史ほど意欲が持ちづらかったり。
だがあえて言おう、今の僕は地理が好きだ。
何の受験のしがらみの無い今だからこそ、とことん好きなように参考書をめくることが出来てようやく到達した。あるいは高度な現実逃避なのかもしれないが、せっかくなので、個人的に「地理の勉強」のどういう部分が面白いのか、自分でも分析してみようと思う。
まず第一に、僕の社会科の勉強の仕方の根幹はやはり歴史にある。
だが、歴史といっても、年号や歴代将軍を暗記するような勉強の仕方はいささか軽蔑に近いものすら感じている。それに何の意味があるの?といった具合に。僕はあくまでもストーリー性を重視している。この文化が誕生したのは、こういった政権ができたから等々。
原因と結果の因果律がどこまで遡っても終わりがなくて楽しい上に、矢印を未来に向けることも求められる。公民などはその補助線のようなものだろう。過去から未来を推測するための。
ところが、地理は先にも述べたように、単語の羅列に過ぎないように感じていた。地理が好きな人は、そもそも「旅行」に興味があるなど、特殊な強味が求められるものだと諦観に近いものすら抱いていた。
旅行談のような、言わば雑学めいた肉付けをしなければ地理は美味しくいただけないと。
でもそうではない、素材本来の味を楽しむこともできるのだ。
思い返せば、地理など「クイズ」でしかない。何よりも純粋に「AならばB」を体感でき、即答するゾクゾク感もある、受験産業におけるアミューズメント科目なのである。
というのも、地理ほど「知ったかぶり」が通用しない科目はない。何となく、で英単語などは得点があったとしても、地理の文章問題はもとより、オーストラリアの東部で取れる鉱山資源など、勘でこなせるものではない。
だからこそ、正解をきめたとき、その爽快感は圧倒的。
ちなみに受験生ならお分かりかと思うが、例題の答えは石炭。北部ならボーキサイト、西部なら鉄鉱石と答える。世界はあれほど複雑なのに、地理は何と明解なのだろう。きっと神の作りたもうた世界のレシピも、自習ノートのように箇条書きで分かりやすいに違いない。煩雑にしてしまっているのは、それを整理できていない人間がわるい。地理だ。地理を学んで世界を単純化しよう。
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