シュウマツ放送局・設定1

2010年12月30日
時間は前だけに進むことを辞めた。
最初、時間が進まない病は人だけに発症した。
長く正確な名前はあるが、誰しも時間病と呼んだ。
症状は軽度、中度、高度、不全とあり、
軽度の人が全体の7割であった。
軽度は時間がその程度の違いこそあれど時間は流れている。
通常の1年間を2年かけて、5年かけて、10年かけて過ごすのだ。
だから、時間病が蔓延した時、年齢など殆ど意味を成さないものになった。
5歳の子供がその5年間を50年かけて過ごしてきた場合もあれば、
非常に軽度だった20歳の若者が15年かけて30歳になった記録もある。
その場合、どちらが歳上なのか。どちらが歳下なのか、
答えは既に正しいことを諦め、問いの価値さえ失った。
中度は時間の停止が伴う症状で全体の2割に及ぶ。
殆どが過ごした時間の数パーセントの時間が止まっているだけで
軽度の人と大きな変わりはない。
だが、中には10年近く時間の停止が発生した人もいる。
そして、最後の1割を占める重度と不全。
その中で重度は時間逆行を伴う。ほんの僅かではあるが、
遅延や停滞ではなく時間が巻き戻るのだ。
これまで10年以上の巻戻りはないが、
それは時間の巻戻りに対する遅延や停滞が発生しているだけであって。
これから時計が進めば進むほど、
時間が巻き戻るという人が出るかもしれない。
そうしてその人達はいつか赤子より前に巻き戻ることに怯えている。
最後に不全。これは時間の流れが別の時間の流れに繋がってしまった人だ。
今までの3つの症状は時間の流れこそ異常ではあったが、
この世界の時間を過ごしてきた。
しかし、不全に陥った人は全く別の理の時間に居る。
流れの早い時間に繋がり急激に老けて亡くなった人、
繋がった時間が消滅し動かなくなった人、
時間以外に視覚まで別の時間に繋がり、この時間のものが見えなくなる人

2010年19月4752日
貴方の時間は進んでいますか

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