100年の孤独/放哉に想う〈Vol.1〉
自由律俳人の尾崎放哉が41歳でこの世を去ったのは、いまから100年ほど前の大正15年4月7日。前年8月に渡った小豆島の土庄町にある西光寺奥の院「南郷庵」が終焉の土地でした――。
わたしが放哉の句に魅かれたのは、2年前に小学館新書から出された『孤独の俳句「山頭火と放哉」名句110選』」を読んだことがはじまりです。そして、講談社文庫の吉村昭著『海も暮れきる』、ちくま文庫の村上護編『尾崎放哉全句集』を繰り返し読み返しているうち、放哉俳句の世界を写真で表現できたらいいな、と思うようになったのです。
放哉の自由律俳句には、人間存在の根源的な孤独や不安が内包されているように感じます。100年を経たいまも色あせることのない一句一句に、放哉への想いを馳せて写真をとつて歩きます。