見出し画像

ワンホールケーキチャレンジを通して出会えた新しい私

昨年の誕生日、私は今まで知らなかった得意なことに出会うことができた。

私には誕生日が1日ちがいの友人がいる。毎年「おめでとう」を互いに伝えることが定番だ。直接会わずSNS上でのやりとりだけだったのだが、昨年は直接会うことができた。
せっかくなので、なにか記憶に残るお祝いをしよう!と思い立ち、私はずっとやってみたかった誕生日ケーキワンホールチャレンジを提案したのだ。

大きなケーキと小さな夢


大きな丸いケーキを、複数人で切り分けて食べるのがワンホールケーキの定番の食べ方だ。
切り分けると、1人分量は1ピースほどになる。

切り分け作業を任された人は相当なプレッシャーを強いられる。すべてのケーキにバランスよくクリームや果物を乗せ、なおかつ平等なサイズに切らないといけないからだ。ナイフが入る瞬間の緊張感たるや。

私は昔からその光景を見て、あのケーキが1人1つあたればどんなに幸せだろうと思っていた。
そうすれば無駄に神経をすり減らす人がいなくてよくなるし、なによりお腹いっぱいケーキを食べられる。ところで、私は一体どれくらいの量を1度に食べることができるのだろう?といつか挑戦してみたかった。

それを試すときがついにきた。私はわくわくした。
しかし、1つ不安要素があった。それは、胃もたれの存在だ。

軽視できぬ胃もたれの存在


私もアラサーといわれる年齢に達し、胃腸の衰えを感じることが増えた。
思い出すのは食べすぎてしまった後悔の日々。そのときは楽しくていいのだが、この年になると翌日にも苦しみが続く。あのとき腹八分目にしておけば!何度後悔したことか。

生クリームたっぷりのケーキ。容易に胃もたれが想像できる。
それでもやるのか? 私は何度も自分に問いかけた。

いや、これは私の長年の夢なのだ。その夢を叶えるときがきた。そして挑戦するときがきたのだ。胃もたれのことなんて考えるな。今を全力で楽しめ。やるぞ!
私は覚悟を決めた。

誕生日にここまで情熱を燃やしたのは初めてだ。よく分からない。
その年の誕生日は私にとってお祝いの日ではなく、戦いに挑む日になっていた。よく分からない。

決戦は誕生日


いよいよ決戦日(誕生日)当日。私はケーキを店に受けとりに行った。
せっかくだから、チョコプレートに自分の名前を書いてもらった。
注文したときは、自分で自分の名前を伝えた。そのとき私はいかにも友人の誕生日ケーキを予約しに来た人を装った。少し恥ずかしかった。

友人と合流し、目の前にケーキを用意する。胸が高鳴る。
「いただきます」と手を合わせ、私たちはケーキを口に運び始めた。

口いっぱいに生クリームの甘味とコクが広がる。噛むとイチゴの酸味とスポンジの食感も加わり、思わず頬がゆるむ。ああ、なんて幸せ。こんな幸せがずっと続けばいいのに!

幸せに食べ進めながらも、背後に息をひそめる胃もたれの存在が忘れられない。
いつくる?まだ来ないでくれ!そう願いながら食べ進めた。
1口、また1口。順調に食べ進めていく。横で食べている友人は苦しそうだ。
私は胃もたれの存在を気にしながら、ケーキの美味しさに幸せを感じながら食べ進めていった。

気が付くと、目の前のケーキが無くなっていた。
そう。私は難なくワンホールを完食したのだ。
正直驚いた。隣の友人ももちろん驚いている。(ちなみに友人は3分の1ほどでギブアップした)

私は念願の夢を叶えたと同時に、自分の新たな特技「甘いものをたくさん食べられる特技」を見つけることができた。
今年の誕生日は新しい自分に出会う経験ができたのだ。

歳と特技が増えました


以上が、誕生日を通して私の意外な特技を発見した話である。
この日は私にとって思い出深い1日になった。
次は、2ホールチャレンジでもしてみようか。ひっそり考えているところである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?