約束(2020.2.17)

昨日見た夢

校外学習先の建物の中で見学しているさなか、突然ある女の子が壁から露出した電気配線を大きなマイナスドライバーでいじり始めた。マイナスドライバーが触れるたびにバチバチと火花が上がる。帯電しているかのようにビカビカとマイナスドライバーも光る。「危ない!」「何やってんだよ!」「おいやめろ!」それに気づいた同級生達が罵ってその行為を止めさせようとするが、彼女はますます火花を散らす。火花と言うよりも雷に近い程、激しくなってきた。
担任の先生も自らのズボンのポケットからマイナスドライバーを取り出し、電気配線を直すことで彼女の行為を止めようとしている。女の子の5mぐらい横でビカビカバチバチとやっている。いや何やってるんだよ。

「危ない!」「逃げろ逃げろ!」「早く!」女の子と同じフロアにいる子達に向かって、上のフロアにいる子達が必死で叫ぶ。僕は女の子がいるフロアが見渡せる上のフロアの廊下にいて、彼女の奇行から目が離せなくなっていた。火花が飛び散った部分の床は何ヶ所も黒く焼け焦げている。

下のフロアの子達が、全員奥の通用口から走り出て避難したのを確認してから、上のフロアにいる僕達も走って逃げた。下の子達も上の子達に向かって必死で逃げろと叫んでいたことが、後から分かった。図工室のような部屋を走り抜けて外に出ようとした時、目の前が真っ暗になった。
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大衆食堂の広さや雰囲気と、学生食堂のカウンターを組み合わせた全体的に茶色い場所。注文や商品の受け渡しをする場所の真ん前で丸椅子に座る僕。丸椅子は3席ある。左側の席に、自分と同じぐらいの年恰好をした女の人が来て座った。

「ゆっくりしていくといいよ」食堂のおばさんはカウンター越しに僕に優しく微笑むと、僕の前にお皿を置いた。フライドポテトと茶色いタレのかかったハンバーグに目玉焼きがのっているお皿。レタスがメインのサラダと何か(忘れた)が入っているお皿。それからご飯。美味しそう。
黙々と食べていると、右隣に40歳過ぎに見える土建屋風のおじさんが座った。おじさんもぼくに気安く話しかけてくれる。

左のお姉さんと3人で話しながらお姉さんが「ここはヒポタス星よ」と言った。ヒポタス星……聞いたことがないな。皆温かくて優しくて、こわさは感じない。

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急勾配の階段を下りてお土産コーナー?店に行った。階段の段と段の間の隙間が大きくて落ちそうで、ここから落ちたら死ぬんじゃないかと思った。(段差も大きいが隙間も広い)薄暗く不気味で、フクロウの鳴く声が聞こえた気がした。

階段を下りてほっとしたところで、犬を連れた女の子に出会った。シーズーとサモエドが混ざったような白い毛長のもさっとした、犬の首元を、青い紐で繋いで連れている。
「あおばくん、迎えに来たよ。君はここにいていい人間じゃない。私と一緒に帰ろう」その犬は?「この子は不憫な子で……この犬も探していたの。連れていく」そっか。
言われるがまま、女の子と犬と一緒に、一面銀色の通路を歩いた。
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瞼を開く感覚がした。まず白い天井が目に入った。それから視線だけで辺りを見回す。ここは病室かな。僕は何もかもが白いベッドの上に横たわっているみたいだ。どうしてこんな所にいるんだろう。同じ部屋の中に、同じようなベッドが6つ以上ある。すぐ隣では女の子が身体を起こして誰かと喋っていて、見覚えのある犬もそのすぐ側に座っていた。

僕も顔に付けられた透明のカプセルを外しながら身体を動かすと、途端に泣き笑いの表情を浮かべた父と母に抱きしめられた。「アッ……良かった……。今までごめんね、これからは」母の声。「あおば、来月の舞台にヴォルガーとして出てくれるか」父は僕に、来月の舞台の歌い手のひとりとして、出演して欲しいと言う。素直に嬉しい。2人は脚本家と演出家で、普段家のことはそっちのけでそちらに没頭している。父なりの精一杯の愛情表現だろう。

しばらく寝ていたからか、気づけば身体のあちこちがぎしぎし痛む。ベッドを起こす角度が急すぎて、結構つらい。もっと柔軟に動けばいいのに。どうにかしようと布団の中で動いてみたけれど、背中と腰が痛くなるばかりでどうしようもない。

「ここヒポタス星のことは誰にも言わないと約束してね」食堂を去り際に、女の人に笑って言われた言葉が頭を離れない。
僕もそのほうがいいと思っている。誰かに言った途端、今度は本当に帰ってこられなくなりそうだから。あそこでの体験は僕の胸の中に収めて墓場まで持っていくことにしよう。瞬きをして隣の女の子を見ようとしたところで終わり。

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夢から現実へ引き戻されるように、私も目が覚めた。
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ーあおばくんの言葉の通り、ヒポタス星のことはあまり話さないでいようと思う。ここに書くかどうかもちょっと迷ったけど、書いて残して起きたくて。
私ことあおばくんは中学生ぐらい。

目覚めの珈琲を1杯。ありがとうございます。