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たまには無駄遣い

昨日、仕事終わりに梅田のジュンク堂に行き、「イラストレーター 安西水丸」を買った。

買うと決めていたわけではなかった。本屋で手に取り、「よさそう」と思ったら買う。そうでなければ、ネットで中古で買う。何しろ2800円くらいするんだから。

僕はいつからか、仕事に関係ないものを買わないようになっていた。無駄遣いに厳しくなった。小説や雑誌は良い。いい文章を読むことは、自分の文章にとってプラスになるから。
レコードや映画鑑賞もまあいい。この2つを自制すると、僕はとても生きづらい。

こう思いはじめた背景には、妹の存在がある。妹は漫画家を目指している。漫画がうまくなりたいなら漫画を描けばいい。それなのに「●●のデッサン術!」という胡散臭い本、聴きもしないスピッツのCD、毎週のように届く通販の衣服に、大量のお金を使っている。
だから自分がつい「服がほしい」と思ったとき、すぐに問いただす。「おしゃれな服を着れば文章がうまくなるのか?」

なので3000円近く出して画集を買うというのは、自分の軸がブレている証拠というか、ポリシーに反する行為に思っていた。だって僕はその画集を読んで、絵を描き始めることはないんだから。

で、実際にジュンク堂に行って本を見つけると、「あー、買おう」と思った。

まず、僕はこれを単行本サイズだと思っていた。すると思ったより大きい。たしかに、画集なら大きい方が良いに決まってる。自分が踏み込んでこなかった画集という新しい分野にワクワクした。
何よりこの鮮やかなブルーの装丁を家でも眺められると思うと、買わずにはいられなかった。僕は「中国行きのスローボート」の表紙が好き。
もはや買わないという選択肢はありえなく、1分も迷わずにレジに持っていった。通販で買うと1000円くらい安いが、1週間も待てない。それに財布には図書カードが1000円分あることを思い出した。チャラだ。

これほど何かを衝動的に欲しいと思ったのは久しぶりだった。小説を書店で偶然見つけて買うことはあるが、それは小説である。小説を買うというのは僕にとって新しいことではない。今回は画集というのが効いた。でもむやみやたらに画集を買うことは今後ない。

……ない……

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