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店主の人柄

常々、大衆酒場は属人的商売の極みだと思っています。

「対話を大事にするバーのほうが人柄はでる」
「いや、ありふれた大衆酒と乾き物で楽しませられるスナックのほうが属人的だ」
などの意見もあるかと思いますが、日常の延長で考えれば酒場が一番ではないでしょうか。

アフターコロナで売上を回復させたのは個人経営の大衆酒場でした。チェーン店はいまだに2019年比で80%程度にとどまっているところが多いと聞きますが、その理由のひとつに、ファン化の問題が大きいと考えます。
チェーン店はお客さんと店員さんとの距離が遠く、仲良くなってもアルバイトは入れ替わりますし、社員も定期異動してしまうので、店員さんにお客さんがつきにくいです。

結果、チェーン居酒屋は指名利用されることは稀で、「近くにあったから」「有名だから」「値段だけで判断」などになっています。コロナ禍前まではそれでも宴会ニーズや、とりあえず集まれる場所として選ばれてきましたが、コロナ禍以降、そういう層がごっそり抜けてしまいました。

個人店は、いつもの店員さんに会いに行きたい、応援したいという気持ちが働き売上が回復したわけです。

さて、店主の人柄について具体的な店名を交えつつ話を進めていきます。
この話をする上で、最も伝えたいことは「酒場の雰囲気=店主の人柄」です。例え店主が調理場を担当していて接客には入らず、フロアをご家族やお手伝いさんが担当していても、やはり店の雰囲気は店主の影響が大きく現れるのですから不思議です。

1,ピシッとした店主のピカピカ酒場

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