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BOT療法(Basal Supported Oral Therapy)について
BOT療法は、2型糖尿病患者に対して行われる治療法で、経口血糖降下薬と基礎インスリン(Basal Insulin)の組み合わせを用いた治療である。
BOT療法の概要
目的
・血糖コントロールの改善:経口薬だけでは十分に血糖コントロールができない患者に対して、基礎インスリンを追加することで、血糖値を正常範囲内に維持する。
・合併症の予防:長期間の高血糖による合併症(眼、腎臓、神経など)の発症を防ぐ。
BOT療法の適応
・経口薬の効果不十分:経口血糖降下薬を使用しても、HbA1cが目標値に達しない患者。
・β細胞機能の低下:2型糖尿病の進行に伴い、膵β細胞のインスリン分泌能力が低下した患者。
・高齢者や低血糖リスクが高い患者:基礎インスリンは比較的低血糖リスクが少ないため、これらの患者に適している。
BOT療法の構成要素
1. 経口血糖降下薬
・ビグアナイド薬(Metformin):肝臓での糖新生を抑制し、インスリン感受性を改善。
・スルホニル尿素薬(SU薬):膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を刺激。
・DPP-4阻害薬:インクレチンホルモンの分解を抑制し、インスリン分泌を増加させ、グルカゴン分泌を抑制。
・SGLT2阻害薬:腎臓でのグルコース再吸収を抑制し、尿中に排出することで血糖値を下げる。
・TZD(チアゾリジンジオン薬):インスリン感受性を高める。
2. 基礎インスリン
・長時間作用型インスリン:グラルギン(ランタス)、デグルデク(トレシーバ)、デテミル(レベミル)など。
・作用持続時間:24時間以上(デグルデクは最大42時間)。
・目的:1日1回の投与で安定した基礎インスリンを提供し、24時間の血糖コントロールをサポート。
BOT療法の実施方法
1. 初期投与
・開始用量:通常、体重1kgあたり0.1〜0.2単位(例:10〜15単位)から開始。
・投与時間:主に就寝前に投与することが多いが、患者の生活スタイルに応じて調整。
2. 血糖モニタリングと用量調整
・自己血糖測定:空腹時血糖値を測定し、目標範囲(70〜130 mg/dL)に達するようにインスリン量を調整。
・HbA1cの測定:定期的にHbA1cを測定し、3ヶ月ごとに治療効果を評価。
3. 経口薬の継続
・併用薬:メトホルミンを基盤とし、他の経口薬(SU薬、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬など)を併用。
BOT療法の利点
・血糖コントロールの向上:経口薬だけでは不十分な場合でも、基礎インスリンの追加で血糖コントロールが改善。
・低血糖リスクの低減:基礎インスリンは持続的な効果があり、急激な血糖降下が少ないため、低血糖リスクが少ない。
・簡便性:基礎インスリンは1日1回の投与で済み、患者の負担が少ない。
BOT療法の課題と対策
・患者教育:インスリン療法の重要性と自己血糖測定の方法について、患者に十分な教育を行う。
・フォローアップ:定期的な診察と血糖モニタリングを行い、治療効果を評価し、必要に応じて治療計画を調整。
・生活習慣の改善:食事療法と運動療法を併用し、総合的な血糖管理を行う。