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睡眠時遊行症(すいみんじゆうこうしょう)

睡眠時遊行症、一般的には夢遊病(むゆうびょう)として知られるこの状態は、睡眠中に無意識のうちに起き上がり、歩き回るなどの行動をとる睡眠障害の一種です。

概要
・発生時期:主にノンレム睡眠(深い睡眠)の第3〜第4段階で起こります。
・年齢層:子どもに多く見られ、特に4〜8歳の間で発症率が高いですが、成人にも起こり得ます。
・持続時間:数秒から30分程度まで様々です。

症状と特徴
・無意識の行動:起き上がり、歩き回る、日常的な動作をする。
・目の状態:目は開いているが、ぼんやりとして焦点が合っていない。
・反応の鈍さ:周囲からの呼びかけに反応しない、または不適切な返答をする。
・記憶の欠如:翌朝にはその行動を覚えていないことが多い。

原因
・遺伝的要因:家族歴がある場合、リスクが高まります。
・睡眠不足や不規則な睡眠パターン:睡眠の質が低下すると発症しやすくなります。
・ストレスや不安:精神的な負担が誘因となることがあります。
・薬物やアルコールの影響:一部の薬物やアルコール摂取が症状を誘発する可能性があります。
・その他の睡眠障害:睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動障害などが関連する場合があります。

診断
・臨床評価:患者本人や家族からの詳しい問診。
・睡眠ポリグラフ検査(PSG):必要に応じて、睡眠中の脳波、心拍数、筋電図などを測定します。
・鑑別診断:他の睡眠障害やてんかん、精神疾患との区別が重要です。

治療と管理
環境の安全確保
・危険物の除去:寝室や家の中から鋭利な物や障害物を取り除く。
・安全装置の設置:窓やドアにロックやアラームを設置。

生活習慣の改善
・規則的な睡眠:一定の睡眠スケジュールを守る。
・リラクゼーション:寝る前のストレスを減らすための活動(深呼吸、ヨガなど)。

薬物療法
・ベンゾジアゼピン系薬剤:重症例や頻度が高い場合に検討。
・その他の薬剤:必要に応じて医師が適切な薬を処方。

心理療法
・認知行動療法(CBT):ストレスや不安の軽減を目指す。
・家族教育:家族が正しい対応方法を学ぶことで、安全性を高める。

予後
・子どもの場合:多くは成長とともに自然に改善します。
・成人の場合:原因となる要因を特定し、適切な治療を行うことで症状のコントロールが可能です。

注意点
・危険行為への対処:自傷や他害のリスクがある場合は、速やかに専門医に相談。
・運転や機械操作の制限:発作中の事故防止のため、必要に応じて制限を設ける。

睡眠時遊行症は適切な診断と管理によって安全性を確保し、症状を軽減することが可能です。睡眠専門医や精神科医への相談をお勧めします。


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