推し に意見してはいけないのか?
僕は好きな芸人やアーティストに対して平気で文句を言うことがある。
直接面と向かって言うチャンスはなかなかないし、あったとて数十秒から数分であるからうまく伝えることはできないだろう。
だから、SNS上で声をあげる。
僕はとあるバンドマンの男に対してTwitterでよく苦情を書いていた。
そのバンドのライブにはよく行くし、本人に認知もされている。SNSのアカウントも知られている。
僕は意見・苦情・文句をいろいろ言っていたら、エゴサーチで本人にその声は届いたが、その結果嫌われて、ライブ中に絶対に目を合わせまいと視線を逸らされ、最終的にSNSをブロックされた。
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このことに関して、「文句を言ったお前が悪い」という意見をもつ人が一定数居る。
これは何故なのだろうか。
僕は、文句を言うことがダメなことだと全く思わない。
何故ならば、こちらは客であり、購入した商品やサービスについて、質が悪かった、納得がいかなかった場合、文句を言う権利が当然ある。
質が悪いだとかそういうことが無かった場合にしても、
改善すべき点が見つかれば、その点を指摘する権利がある。
僕はよく、「商品・サービスに対するご意見・ご感想はこちらにお寄せください」というようなフォームにメッセージを送る。
自分が普段買う商品が、少しでも良くなってほしいからだ。
アイデアを出すことはあまりないが、「○○が××なのが、不便だと感じます」など、商品を使用していて不便・不満を感じる点を綴る。
新たに改善案を練るのはその商品やサービスをつくっている人の仕事である。だから、こちらはその改善案を出すためのヒントを送る。
あなたの商品はここがダメなんだよ、ここが良く思われてないよ、そう教えてあげる。
丁寧に返事をくれる企業は多い。
「貴重なご意見をありがとうございます。~~~とのこと、検討させていただきます」
本当に参考にして検討しているか知らないが、届いている。
「なぜ文句を言うんだ。うちの商品なんて二度と買わなくていい!」なんていう返事をしてきた会社は一社もない。
客からの意見は、真摯に受け止める(最低限、真摯に受け止めるふりをする)必要があるのだ。それが仕事というものだからだ。
客を満足させるものを提供するのが仕事。
そう考えると、僕の推しているバンドマンの
「意見を言ってきた客をライブ中の対応で差別し、SNSをブロックする」というやり方は間違っていると感じる。
しかし、僕の考えに共感するファンは少ない。
推しには媚びて当然、みたいな人が多い。
何故だろうか。
推し活は、
他の商品・サービスとは異なる点が1点あることに気がついた。
その点について説明しよう。
普通、何か購入した商品やサービスに対して気に食わなかった場合、その商品を売っている会社や販売店などに問い合わせて文句をいう。例えば、買った服に不備があったら服屋に意見を言う。
一方で、推し活は、
好きなアーティスト本人にエゴサーチで分かるようにした状態で意見をする。
この違いは何かわかっただろうか。
服を買って服屋に意見するときは、
自分の好きな物は服で、クレームを言う相手は服屋。
推しに意見するときは、
自分の好きな物は 推しで、クレームを言う相手も推し。
推しの場合、
好きな対象に対して、文句をいうことになるのだ。
だから言うのに抵抗がある。
推しのバンドのライブ構成が変で、気の衒った演出でステージも見にくくて、マイクの音量も無茶苦茶ですごく嫌だった、などという場合には
推しに文句をいうことになる。
しかし、「せっかく私の推しが時間をかけて考えて創り上げた作品だもんな…。悪く言ったら可哀想だな…。」と気を遣ってしまう。
買った服がすぐ毛玉だらけになる、一度洗濯したらめちゃくちゃ縮んだ、などの場合には
「せっかく業者が頑張って作ってくれたしな…。」などと気を遣うことはない。
ちゃんと服屋に文句を言える。
文句をいうのに抵抗はなく、客として当然の権利だと考えることができる。
なんとなく、私の言いたいことは伝わってきただろう。
もっとわかりやすい例をあげてみよう。
推し活の場合でも、
こんなときは、みんなクレームを言うことができる。
事務所が相手の場合だ。
ジャニーズが今騒がれている。
「性加害、ひどい!おかしい!」ちゃんと言える。これはまあ当然としても(推しが性加害していたとしても皆さすがに庇わないだろう)、
「グッズのここがおかしい」「チケット販売のシステムがおかしい」などもきちんと言える。意見を出せる。
「チケット販売のシステムを考えてくれたエンジニアが可哀想だ!文句を言うな!」と言う者は少ないだろう。
しかし、ジャニーズのコンサートで
セットリストが思っていたのとだいぶ違った、お客みんなが聴きたかったであろうあの歌がなかった、などとSNSで書き込めば 「メンバーがたくさん考えてつくったセットリストに文句をいうな!」と、途端に文句を言った人が悪者のように扱われてしまう。
「人が嫌だと思うことを言ってはいけないって、教わらなかったの?」などと言い出す連中もいる。
せっかく頑張って服を作った人が嫌な思いをするからと言って、洗うとすぐ縮むような服を許している場合ではないし、
エンジニアが可哀想だからという理由でチケット販売サイトが不備だらけではいけないのだ。
大好きな推しが文句を言われているのが可哀想に見えてしまうから、
推しに意見する者が全て悪者のように見えてしまうのだ。
しかし、推しも仕事をしているのだ。
お客様から意見を言われることも当然あり、受け止めなければならないのだ。
意見を述べたファンは何も悪いことをしていない。
だから、僕も「人が嫌がるようなことを言ってはダメだって、教わらなかったの?」などと言われる筋合いはないのだ。