ベルトスクロールアクションの歴史や面白さについて考える
ベルトスクロールアクションを作り始めて、このジャンルについてもう少し勉強しなければ……と思って、色々と考えたことをまとめます。
■ベルトスクロールアクションの定義
ベルトスクロールアクションには様々な要素がありますが、個人的には以下の要素が大きいと感じました
① 斜め上からの視点(クォータービュー)でZ軸(奥行きがある)移動が可能
② 格闘技メインの接近戦を主体にしたアクション
③ 単体で戦い、大量の敵を蹴散らす
■ベルトスクロールアクションの面白さ
定義した3要素について、それぞれの面白さを個別に検証します。
▼① 斜め上からの視点(クォータービュー)でZ軸(奥行きがある)移動が可能
サイドビューのようなXY軸しかないゲームと比べて移動の自由度が高く、サイドビューとは異なる独特の間合いの取り方を主体にしたアクションが楽しめます。
ベルトアクションでは、基本的にZ値が合わないと攻撃が当たりません。そのため、敵の攻撃をZ軸を移動することで回避できます。(そのぶんZ値を無視してヒットする攻撃はゲームバランスを崩す可能性あり)
このような空間の広がりが、ゲームプレイの自由度を広げる効果があります。
▼② 格闘をメインにした接近戦主体のアクション
これは対戦格闘ゲームにも存在する強みですね。
連続技やつかみ技、投げなど、うまくコンボを繋げることで、強力な連続技を敵に叩き込むのは、とても爽快感があります。
また、ベルトアクションはガードの概念がないものが多いので、格闘ゲームほどシビアなタイミングで連続技を入力する必要がないというユルさもあります。
また、一人で多くの敵と戦うため、敵に囲まれそうな時はなるべく多くの敵を巻き込むような技を出して、うまく立ち回るのが面白いですね。
▼③ 単体で戦い、大量の敵を蹴散らす
これは、無双系やハック&スラッシュ系のゲームでも得られる楽しさですね。
ワラワラと湧いてくる敵を強力な技で蹴散らす爽快感。
敵に囲まれないようにうまく立ち回り、それでも囲まれたら緊急回避の技で敵を蹴散らすことができます。
例えるなら、映画ダイハードのように、ジョン・マクレーン刑事が一人でテロ組織を壊滅させる、というような映画のヒーローにでもなったかのような気分になれるわけです。
■ベルトスクロールアクションの歴史
ベルトアクションの歴史はたどると「熱血硬派くにおくん」「ダブルドラゴン」に始まり、「ファイナルファイト」で一大ブームを起こした後、現在は衰退してあまり見ないゲームジャンルとなっています。
対戦格闘ゲームが、未だ定期的に新作が出ていることを考えると、同じ格闘モノとしては、寂しい状況になっています。
個人的な考えとしては、ベルトアクションというゲームジャンルは、アーケードでは「対戦格闘ゲーム」(②の面白さの発展系)、家庭用ゲーム機では「無双系ゲーム」(③の面白さの発展系) に存在意義を奪われた結果、滅亡してしまった印象です。
※ただしインディー系では、新作のベルトスクロールアクションがそれなりに出ているようです
■ベルトアクションの長所と短所
ベルトアクションの核となる楽しさは、「近接の格闘技を主体とした攻撃で、強力なコンボを叩き込む楽しさ」+「大量の敵相手に無双する」が両立しているところにあると思います。
もしくは軸をずらすことで、敵の攻撃を先読みして回避する戦略性。
ただ、ベルトアクションは、擬似3Dのため当たり判定が曖昧になりがちで、2D対戦格闘と比べると、納得の行かない当たり判定でダメージを受けてしまうことが多々あります。どうしても強い敵を出そうとすると、当たり判定を大きくしてしまいがちなので、そこをできるだけ理不尽にならないような判定にする必要がありますね。
また、基本ボタン連打で先に進めてしまうので、「大味」で「単調」なゲーム性になりがちです。そして発生フレームが短かったり、無敵時間がある技を安易に用意してしまうと、そればかりを使っていればクリアできてしまいます。なので、強力な技は慎重に採用を検討する必要がありそう。
できれば、つかみ技や投げ技でコンボを繋げられるようにすると遊びの幅を広げやすいかもしれません。
■ベルトスクロールアクションを作るのに参考になるゲーム
1つだけあげるなら、ファミコン版の「ダブルドラゴンII ザ・リベンジ」をオススメします。(アーケード版はゲームバランスが厳し過ぎるのでオススメしません)
名作ベルトアクション といえばカプコン系ですが、あれを目標とするにはハードルが高すぎるので、まずはファミコンレベルを目指すのが良いかと思います。
なお、ファミコン版の「ダブルドラゴンII ザ・リベンジ」は、3DS / PS4 / Switch で配信されているようです。
(※とはいえ、お気に入りのベルトスクロールアクションがあるなら、それを参考にするのが一番モチベーションが上がって良いかと思います)
■参考
・ベルトスクロールアクションゲーム - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ベルトスクロールアクションゲーム
・なぜ今ベルトスクロールアクションが作られないのか
https://plaza.rakuten.co.jp/masyamblog555/diary/201101200000/
■関連する記事
ベルトスクロールアクションの基本的な実装についてまとめています。
ベルトアクションの最高傑作と言われる「エイリアン VS. プレデター」を遊びにいくだけの記事です。
ただ遊ぶだけでなく、なぜ「エイリアン VS. プレデター」が最高傑作なのかについて少しだけ考察をしています。