『私が死んだら火葬だけして散骨して』=自己中心的な考え
自分が死んだら火葬だけして散骨してくれればいい
最近では葬儀のあり方や弔い方が多様化してきています。
昔はお坊さんを呼んで通夜告別式の葬儀をして、菩提寺のお墓に納骨するのが当たり前でした。しかし今は葬儀も様々な形に変化しており、火葬だけする「直葬」も珍しいことではなくなりました。遺骨も自宅に安置することもあれば海に撒いたり、合同墓に収めたりと多様化しています。
そこで最近聞くのが『私が死んだときは火葬だけして散骨してくれればいい』といった言葉です。つまり私が死んだときには葬儀にお金かけず、お墓の面倒も見なくて済むようにしたいということです。
子供に苦労をかけたくない、私が死んだときにわざわざお金かける必要ないよという親心です。しかし、これって本当に子供のためになっているでしょうか?
見送る子供の想いを無視してませんか?
自分の死んだときの葬儀は誰のためにするのでしょうか?
当然自分が死んでいるのだから自分のために葬儀をしますよね。
しかし、葬儀は故人のためだけにするのではありません。
葬儀という儀式を行うことで見送る側の心のケアのためでもあるのです。
日常生活で経験する事象の中で心理的ストレスが1番高いのが家族との死別です。大切な親が亡くなったときの喪失感は大きく、日常生活に戻ることはなかなか難しい方も多くいます。
そんな心理的ストレスを軽減させてくれるのが葬儀という儀式です。
伝統的な葬儀が心のケアになる
海外の先行研究では葬儀や年忌法要などの参加が遺族に好影響を与えることが明らかにされています。
更に直葬や簡易的な葬儀を行った遺族より、通夜告別式を行い、49日法要・1周忌法要を行った遺族の方が心理的ストレス度が低くなることが分かっています。
・葬儀社や家族と葬儀の準備をしながら親との思い出を振り返る。
・葬儀に来てくれた親戚や友人関係から自分が知らない親の一面を聞く。
・お坊さんの法話で供養の仕方を聞く
・棺にお花を入れる中で親に最期のお別れをする
・火葬して遺骨を骨壺に収め、自宅に安置する
・49日法要や1周忌法要で納骨する
・お盆やお彼岸にお墓参りして対話する
・何気ない日常でも家で手を合わせる
こういった一連の流れや儀式の中で心の整理ができ、親と向き合って心の中でしっかり供養をしたという気持ちになり、心のケアがされていくのです。
遺言に残す前に家族に相談する!
ありがちなのが家族に相談もせずに『火葬だけでいい、散骨してくれればいい』と一方的に話してしまうことです。子供の立場からするとそれは遺言となり、本人の遺志を尊重しなくてはいけないと思い込んでしまいます。
遺言通り火葬だけして散骨した結果、心の整理が追い付かない・遺骨がないので手を合わせる対象がなく心が晴れないといったことになる可能性があります。結局子供のためにと思ってしたことがかえって子供に負担をかけることになりうるのです。
そうならないために家族に相談をしましょう!
葬儀は自分のためだけのものではありません。残される家族のためにもしっかりと気持ちを確認して相談することで子供を守ることになります。
終活で不安なことがあればぜひお気軽にご連絡ください