「適材適職 大企業とベンチャー」ぶっちゃけ就活座談会
『ぶっちゃけ就活座談会 #就活ONLINE 』は、新型コロナウイルスの影響で大きく変わってしまった就活の最新情報をお届けしながら、すでに働いている先輩社会人の「ぶっちゃけ就活話」を、LIVE配信にてお送りする番組です。
6月25日(木)の配信では、ヤフー株式会社の竹本萌瑛子さんと株式会社カラス代表の牧野圭太さんをゲストにお迎えし、「適材適職 大企業とベンチャー」をテーマにお話いただきました。
<出演者>
司会:風間夏実(株式会社エードット 広報)
ゲストコメンテーター:鈴木一史(キャリタス就活 編集長)
ご意見番:ぶっちゃけカタル子ちゃん(就活生)
ゲスト:竹本萌瑛子さん
Twitter:@moeko_takemo
ゲスト:牧野圭太さん
Twitter:@MAKINO1121
あなたの、「適材適職」探しませんか?
風間夏実(以下、風間):
今回から就活ONLINEでは「適材適職」というテーマを設けました。
鈴木一史(以下、鈴木):
一般にある言葉は「適材適所」で、「適材適職」というのは造語です。
適材適所は「その職務にとって最適な人」という文脈で使われます。「組織がその人にどのような役割を持ってもらいたいか」という観点で語られることが多いですよね。
でも、その視点で語られることに違和感を感じていたんです。
そこで今回、「適材適職」という言葉を作りました。企業や組織からの目線ではなく個人の目線で、その人にとって最適な職業や働き方を考える。ここをしっかりと大事にしていきたいと思います。
今日の番組は「適材適職」について、「大企業かベンチャー企業か」という切り口でお送りします。
ゲストは、大企業であるヤフー株式会社で働きながら、副業で様々な活動を行う竹本萌瑛子さん。そして、新卒で博報堂という大企業に入り、今はベンチャー企業である株式会社カラス代表/株式会社エードット副代表を務める牧野圭太さんのお二人にお越しいただきました。
それぞれ、大企業とベンチャー企業の視点からお話を伺っていきます。
「ベンチャー企業」ってどんな会社?
風間:
そもそもベンチャー企業とは、どんな企業のことでしょうか?
牧野圭太(以下、牧野):
ベンチャー企業の定義って、人によって違いますよね。
僕は企業の大きさの話ではないと思っています。
常に新しい成長を作るために新しいチャレンジをたくさんする会社が、ベンチャー企業なんじゃないかなと。
僕が副社長を務めるエードットは、140名くらい社員がいて上場していますが、毎日毎日新しい挑戦をしなくちゃいけない会社で、まだまだドベンチャーだと思っています。
鈴木:
確かに「ベンチャー企業に行きたいです!」という学生さんから、サイバーエージェントさんやメルカリさん、楽天さんといった名前が挙がることが結構あります。規模だけみると大企業なのですが、経営者の方にベンチャーマインドが宿っている会社ですよね。あとは「創業者がそのまま経営している」というのも、一つの要素なのかなと思います。
「ベンチャー企業」という言葉に決まりはないので、再構築した方がいいですよね。
竹本さんと牧野さんの1日
風間:
皆さんが気になる、大手企業とベンチャー企業の実情を紐解いていきたいと思います。
早速ぶっちゃけなのですが……大企業の竹本さんとベンチャー企業の牧野さんに、1日の過ごし方をグラフにしてもらいました。
ちょっと、あの、牧野さんがすごいことになっているんですが……(笑)。
牧野:
これ公開していいのか、不安だったんですけど(笑)。
まず最初に、僕のスケジュールは「ベンチャー代表」ではなく、個人的な数字だと思ってください。
僕は経営者であり役員で、役員はいくら働いても許されるという特権がありまして!
みんなは、そんなに無理しないでほしいなと思います。
カタル子:
風間さんは牧野さんと同じ会社ですが、ちょっと違うんですか?
風間:
そうですね。私は定時19時でちゃんと上がるように頑張っています。
牧野さんはかなり働いている方なので(笑)。
竹本さんは、朝9時半から業務を初めて19時に終わり、そのあと副業の時間がありますね。
竹本萌瑛子さん(以下、竹本):
そうですね。本業が終わったあとに副業の仕事をしています。
私、睡眠時間長すぎませんか……? あの、寝る時間は日によります!(笑)
風間:
美容のためにも、やっぱりちゃんと寝ないとなので!
すごく充実してますね。残業はありますか?
竹本:
残業はほとんどないです。たまにイベント当日とかは少し遅くなることはありますが、それ以外は残業ってあまりしたことないですね。
風間:
いい会社ですね。
牧野さんの1日は……。
牧野:
先ほど話したように、ベンチャー企業だから業務時間が長いというわけではありません。
でもぶっちゃけ、前職の博報堂時代から、僕は今と近い働き方をしていました。
ベンチャーかどうかよりも、業界や周りの人、職種、部署によっても違うと思いますね。
竹本:
私の会社も部署によって差があります。
部署が違うと会社が違うくらい関わる機会がないので、細かくはわかりませんが、営業職の同期は残業していますね。
風間:
部署によっても違いますよね。
「趣味の時間はありますか?」という質問がきていますが、いかがですか?
竹本:
私は取れています。本業が終わったあとは自由なので、寝る前や土日に時間を取れますね。読書や映画鑑賞であれば仕事が終わってから全然できるかなと思います。
風間:
ありがとうございます。牧野さん、趣味は……(笑)。
牧野:
あはは、なんですか趣味がなさそうなみたいな(笑)。
風間:
仕事が趣味の人かなと!
牧野:
そうですね。この仕事のいいところでもあり、悪いところかもしれませんが、趣味と仕事が融合するところは大きいですね。
趣味に近いものを仕事にしてしまうこともできるので、仕事と趣味の境界は曖昧だなと思います。
でも、趣味の時間もありますよ。僕はもともとスポーツが好きだったので、6年くらい前からボクシングをやっています。今はコロナで行けていませんが、少なくとも週一、土曜日は絶対に行くようにしていました。
大企業っぽいエピソード&ベンチャー企業っぽいエピソード
風間:
「大企業っぽいな」と感じたこと、「ベンチャーならではだな」と思ったエピソードはありますか?
竹本:
私はベンチャーと比較ができないので、新卒で大企業に入って思ったことを話しますね。
入社してまず「オフィスすごいな!」って思いました。
今はコロナでオフィスの価値が見直されていますが、オフィスの快適さを保つ「オフィス最適化推進部」という部署があるんです。そういうところに力を入れる余力があるのはすごいなと思いましたね。
あとは、承認フローに衝撃を受けました。
一つ何かを決めるだけでも、いろんな人のOK、OK……と承認が必要なんですよね。
うちの会社はハンコではないですが、承認の流れがこんなにあるんだなと。
風間:
承認フローについては、すごく共感できます。
私は前職が銀行だったので、いろんな人にハンコをもらって進めていました。
竹本:
銀行はハンコなんですね。
風間:
ハンコでした。
風間:
牧野さんは、博報堂で大企業っぽいなと思ったことはありますか?
牧野:
竹本さんがお話していたように、オフィスはやっぱりすごいですよね。
博報堂は社食にキハチが入っていて「すげぇ」と思いました。
みんなが知ってくれている会社というのも大きかったですね。
知名度で得られることもあったと思います。
あとは、研修がしっかりしていたり。
僕は最初の3年間が本当にポンコツで、全然仕事ができなかったんですけど、そんな僕でも養ってもらえる器の大きさは、すごくいいところだなと今でも思っています。
逆に辛かったのは、「会議が多いな」とか「これは無駄なんじゃないかな」と思う回数が増えたこと。
そして、僕が辞めた一番の理由は「上に人がいっぱいいすぎる」ことだったんですよね。
僕が博報堂を辞めたのは30歳のときですけど、上を見ると60歳まで人がたくさんいる状態。
「何をするにしてもその人たちの意志を仰がなくちゃいけない」とか、
「自分がその会社で大きなパワーを持つには、一体どれだけ時間がかかるんだろう」とか。
そんなことを考えて、自分自身で一人立ちして自由になる必要があるなと思ったんです。
風間:
ありがとうございます。
では、ベンチャー企業に移って「これはベンチャーっぽいなぁ」と感じることはありますか?
牧野:
当たり前ですけど、何も決まってないんですよね。
大企業はいろんなビジネスが仕組み化されているので、明日やることも1ヵ月後やることも1年後やることもそんなに大きくは変わらない状態で、大きなビジネスモデルが回っています。
一方でベンチャー企業は、ビジネスモデルがまだ小さく、明日やることや1年後やることを、自分で決めて自分で動かないと何も進まない状態かなと思います。
でもだからこそ、切羽詰まりながらいろんなことにチャレンジして経験を積めるんですよね。僕はこの5年間で自分がすごく成長できたなと思うので、今の環境に来て(僕は移ったというより、作った側ですが)すごく良かったなと思います。
大企業に向いてる人、ベンチャー企業に向いてる人
風間:
ぶっちゃけ、どんな就活生が大企業に向いていて、どんな就活生がベンチャーに向いているのでしょうか?
竹本:
大企業とベンチャーで分けるのってすごく難しくて、企業のカラーによるのかなと思います。
そこを取っ払って考えると、自走できる方はベンチャーでやっていけるのかな。
でも、じゃあ大企業は自走できない人が合うかというと、全然そうではなくて。大企業であっても、自走せずに言われたことしかできないと、つまらなく感じてくると思います。
結局、求められていることって本質は同じなんですよね。
早く上の立場になりたいとか、自分で意思決定をしてどんどん動かしていきたいといった思いのある方はベンチャーがいいのかなと思います。大企業ではちょっと難しい部分があるかもしれないです。
牧野:
僕も同じような話をしようと思っていました。
よく「大企業とベンチャーどっちが成長しますか?」という質問を聞くんですけど、結論は一緒なんじゃないかと思っていて。
元も子もないんですけど、成長するかどうかは結局その人次第。
ベンチャーで活躍出来る人とできない人がいると思うんですけど、その人って結局大企業に行ってもベンチャー企業に行っても同じなんじゃないかな。10年間くらいまわりを見ていて、僕はそう思います。
竹本さんが言っていたように、今すぐ形にしたいものがあったりだとか、やりたいビジネスプランがある人は、ベンチャー企業のほうが若いうちから意思決定に近い場所にいれるので、実現の可能性が高まるのかなと思います。
キャリアのスタートは大企業がいい?
カタル子:
私はベンチャー企業が気になっているんですけど、大学で周りの子たちが「大企業がいい」と言っていたり、親も「大企業はやっぱり安定よ」と言っていたりして、ちょっと不安になってしまいます。
牧野:
昔と比べるとベンチャーという概念が広がってきていて、大きなベンチャー企業とか、ベンチャー企業だけどすでに名前が知られている企業だとか、幅はすごく生まれてきています。
10年前だと「やっぱり大企業に行かないと」という空気がありましたが、今はその空気も減ってきているなと。
だから、最初にベンチャー企業に行ったから、次に大手企業に転職できないとか、そんなことも全然なくて。むしろベンチャーから大企業にいくケースを、僕は最近たくさん見てきました。大手志向の流れはどんどん変わってきているなと思います。
鈴木さん、どうでしょうか?
鈴木:
まさにそうですね。
確かに10年〜20年くらい前は、ベンチャー企業という選択肢がなかったのと、インターネットががっつり普及する前だったので、そこに繋がる情報がなかったんですよね。なので、怪しげなイメージもありました。
でも今は、いくらでもネット上で情報を得られますし、一つの会社に就社(就職したらその会社で長く働く)するキャリアだけではなくなっているので、どちらでもいいんじゃないかなと思いますね。
牧野さんがおっしゃっていた「ベンチャーto大企業」の流れがあるのも、今は大企業の人が、ベンチャー企業で得た経験を高くかっているからなんですよね。
ベンチャー企業から大企業へも、大企業からベンチャー企業へも行ける。どちらに入ってもどちらにでも切り替えられる構造が、ここ15年くらいで日本にもできてきています。
だからもう「大企業とベンチャー企業」という軸で考えるのも、もしかしたらズレ始めているのかなとも思います。
就活生へ
風間:
最後に、番組を振り返って感想をお願いします。
竹本:
私も2年前に就活しているとき、大企業とベンチャーどっちに行くべきかと悩んでいた立場だったので、皆さんの質問を見ながら「やっぱりそこが気になるよな」という感覚でしたね。
綺麗事に聞こえるかもしれないですが、入ってみてやっぱり、自分次第だなっていうのをすごく感じています。
会社で上司に「もっとチャレンジ精神を持ってガンガンやってください」とアドバイスをいただきました。これってベンチャーでも求められることですよね。
どこに行っても求められる本質は一緒なので、自分と合う企業を見つけて、頑張ってほしいなと思います。
就活中に感じる、むかつくこととか、悲しいこととか、そういった感情も全部大事にして、「なんでむかついたんだろう?」「なんで悲しかったんだろう」と考えると、それがまた次の企業を見つけるきっかけになるかもしれません。一つ一つの感情を大事にして、いい企業と巡り合っていただけたらなと思います。応援しています。
風間:
ありがとうございます。牧野さん、いかがでしたか?
牧野:
今年や来年の就活生はコロナの影響で不安に思う方がきっと多いと思いますが、予想していたより被害は抑えられているんじゃないかなと。僕の感覚でもどんどん仕事が増えていますし、良くなってきていると感じるので、希望を持ってもらいたいなと思っています。
僕は、就活で人生が変わりました。
本当に無気力な大学生だったのが、就活でいろんな企業の情報を見て、世の中にはこんなに楽しそうな会社があるんだなとか、こんなに楽しそうに働いている大人がいるんだなと知って、生きる希望や博報堂を目指す夢を持てたんです。就活はすごく勉強になったし、刺激にもなりました。
今はこうして会社をやっているわけですが、振り返ってみると、僕の人生は就活のタイミングからすごく変わったと思います。
就活は大変なこともいっぱいあるし、落ちてへこむこともありますが、社会に触れられるいい接点なので、そこを楽しんでやってもらえたらなと思っています。
風間:
ありがとうございます。
鈴木さん、最後にこの1時間を振り返ってご感想はいかがですか?
鈴木:
「適材適職」というテーマで、今回は「大企業とベンチャー企業」という切り口で番組をお送りさせていただきました。
お二人の話を聞いていて感じたことは、やっぱり大企業かベンチャー企業かって、そんなに大きな問題じゃないのかなということです。それぞれにメリット、デメリットがあるかと思いますが、最後は自分次第。
実際に、前を向いている方には多くのチャンスがある時代です。
「常にバッターボックスに立つ気持ちさえ持っていれば、明るい未来が見えるんだよ」というメッセージを感じ取っていただけたのかなと思います。
ーー「大企業かベンチャー企業か」。多くの就活生が悩むポイントですよね。今回の放送で、本質的に大切なことはどちらも同じであること。また、業界や企業、部署によって異なる部分が大きいことが、紐解けたかと思います。
一方で、10年前よりもキャリアの多様性が広がってきたというお話もありました。「大手だから」「ベンチャー企業だから」という枠組みに引っ張られすぎず「企業そのもの」を見て就活のできる時代。それはきっと、就活生にとっても企業にとっても、いい出会いが生まれやすい環境になってきたということだと思います。この番組が、就活生の皆さんが納得のいく就活を行うヒントになると幸いです。
番組の全編はアーカイブにて視聴できます。記事で紹介しきれなかった、牧野さん、竹本さんの就活エピソードや質問へのぶっちゃけ解答、副業や個人のSNSについてなど、盛りだくさんの内容です。ぜひチェックしてくださいね!
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(執筆:はつこ)