【散文詩】愛の詩を綴ろう
私のパートナーに。
少し詩から離れていたかったのだ。ペン立ての中で、ペリカンやパーカーの万年筆が出番を待っているのに。万年筆は日記を書く用途にしか使わなかった。
とにかく少し、詩から離れていたかったのだ。とっておきの大好物を、あえて今は食べずにしまい込むように。秋闌けて、風は冷たく、冬の足音がかすかに聞こえる。━━書かずにいられない気持ちがついに目を覚まし、私の眠りを足蹴にし、遠ざける。
ペンを走らせる喜び。どうして離れていたのだろう。書けないゆえに詩から距離を置き、生活者としての生活を謳歌していた。それは全く、楽しくない。
だが、いまは勇気を持って書き出せる。あなたへの愛の言葉を詩にして。ああ、いとしい人よ、今こそ私は綴ろう。あなたへの愛の詩を綴ろう。
(2023.11.6)
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