第13回 『伊勢物語』からインスピレーション?
在原業平らしき「昔男」を主人公とする『伊勢物語』はおよそ西暦960年頃に完成・流布したと言われます。ちょうど紫式部が生まれる10年ほど前です。
早熟な式部は、さぞ『伊勢物語』に耽溺した事でしょう。ちょうど13歳の時に、悲劇の源高明を知り、同時期に『伊勢物語』も読んだ事と思います。
主人公の在原業平は天皇の孫でありながら不遇ですがしかし美男子の色好み。当時、色好みは良い事とされ、一人の妻を守っている男は「まじめ人間」すぎると軽く見られていた様です。
そして業平は、天皇の妃に決まっている女性を盗み出して逃避行。(芥川の段)結局女性(高子)は連れ戻され、予定通り、清和天皇の妃となりますが、式部はどきどきしながら読んだ事でしょう。そして伊勢の斎宮との密通。
恐らく、式部は源高明の肉付けとして業平の様な美男・色好みを想定したのではないでしょうか?そして天皇の妃に予定されている女性を寝取るのは朧月夜の君にしました(想像)。
『伊勢物語』には源融という嵯峨天皇の皇子も出てきて、相当な美男であったとされ(清凉寺などの仏像など)、また少女時代の式部の光源氏創作に役立ったと思われます。(続く)
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