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第168回 清盛の死(2)

病床で清盛は、亡くなった人々の夢を見ました。祖母であり養母でもある祇園の女御、実は父と噂された白河法皇、父忠盛、義母池の禅尼、最初の妻章子、重盛、基盛、そして盛子・・・
清盛は棟梁となる三男の宗盛が心配でした。
「あやつは人が好い。わしの悪い所だけが似ておる。平家はどうなるであろうか・・・」
看病をする時子が、
「殿、大丈夫でございますよ。知盛もいるし重衡もおりますし。何より主上は平家の孫でございます」
と励ます様に言いました。
「そうじゃな・・・」
と清盛は久々に笑みを浮かべましたが、やはり不安でした。
「もしも頼朝が勝てば、頼朝は平家の命を助けるだろうか。それとも根絶やしにするであろうか・・・」
底知れぬ恐怖が清盛を襲い、病状はどんどん悪くなっていきました。(続く)

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