第39回 マックス・プランクの予言
ジョリオ=キュリー夫妻の核分裂連鎖反応の公表でがっくりしているシラードに対して、フェルミやコロンビア大の関係者は、
「もういいだろう。コロンビア大の名誉としてこちらも発表する。他にも、もう実験している科学者は多いことだろうし」
と公表に踏み切りました。
物理学者の多くが原子爆弾は本当に製造可能であることを確信しました。しかしまだ爆弾になるほどの威力はなく、どうやって爆弾の域まで持っていくかが問題であり、また勝手に爆発されては困るのでどうやって制御していくかが難問でした。
しかし新聞では早くも、
「ウランの同位体が分離できさえすれば、一つの都市など簡単に吹き飛ばすだけの原子爆弾ができる可能性」の文字が躍りました。
また、リーゼ・マイトナーの恩師で、「エネルギー量子の発見」でノーベル賞を受賞したドイツのマックス・プランクは、悲壮な顔をして
「核分裂は人類の幸福のために使われなければならない。だが、そうはならないだろう」
と悲観的な予言をしました。