第68回 玉鬘~初音 正月の晴れ着
明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします!
さて、今日は元旦ですが、正月と言えばご馳走にそして晴れ着です。
私の所も貧しかったですが、今思えば、年末に正月の晴れ着は毎年買ってくれていたと思います。きっと昔からの風習だったのでしょうね。
「夕顔」の帖を書いた香子は、今度はその娘の生涯を描きます。最初から娘ありきだったのでしょうかね?
これは以前書きましたが、香子の親友ともいうべき従姉が父の赴任で九州へ行って結婚して姫を儲けたものの若くして亡くなってしまう。そしてその姫は九州から戻ってきたのをインスピレーションしたものではないでしょうか?従姉は亡くなっても娘として蘇ったのです。夕顔も亡くなっても玉鬘として蘇ったのでした。
母の夕顔が行方知れずになったので乳母は姫を連れて、つてのある九州へ行きます。姫が20歳になる頃、母譲りの美貌で無理やり地方の有力者に結婚させられそうになって、そちらに味方するものもいて乳母は何とか京に戻ってきます。そして長谷寺詣でに行った際、夕顔に仕えていた右近と会うのでした。
話を聞いた光源氏は、玉鬘を頭中将にはすぐに戻さずに六条院の夏の御殿で花散里に世話させて、姿を見ては楽しむのです。
やがて年末が近づいてきました。紫の上は染色や裁縫も上手で本当に非の打ちどころのない妻でした。まあ平安の上流貴族だから財力があるのですが。
源氏はそれぞれの方に合った衣裳を選びます。
まず一番大事な紫の上には、紅梅の模様が浮き出た葡萄(えび)染めの小袿と鮮やかな紅梅色の袿(うちき)-紫とピンクで統一してますね。
明石の姫君には、桜襲の細長に、艶のあるピンクの袿。
玉鬘には、鮮やかな赤い袿と、山吹色の細長。
それを見て紫の上は「父上(頭の中将)同様、美しいけれど優美さに欠けるのね」と判断します。
そして気になる明石の君です。唐風の異国的な白い小袿に、濃い艶やかなのを重ねます。
「気品のある方なのね」と紫の上は嫉妬してしまいます。(他の人は後日)
そして元旦。春の御殿で紫の上、明石の姫君と話をした後、北の夏の御殿で花散里や玉鬘と会います。玉鬘の山吹色の細長を見て源氏は自分の見立て通りだったと満足した事でしょう。
気持ちが高ぶって、もう日暮れ時に、その西の冬の御殿に行きます。
明石の君の姿は最初見えなくて、薫物や部屋のしつらえが見事でまさに愛人の鑑と言ったところでしょうか。
やがて明石の君が現れますが、選んだ衣裳が美しいです。そして明石の君は、会えない実の娘からの返しの手紙を見て泣いています。
「初音(うぐいす)が聞けた様です」
その姿に感動した源氏は長居をして元日早々、明石の君の所に泊ります。
待つ紫の上や、春の御殿の女房たちは激おこです。
夜明け前に、源氏は寝床の紫の上の横に滑り込みますが、案の定、返事もしません。
正月二日は、招宴の日で六条院に参上する客がたくさん来ます。
「今日は忙しいぞ」と言いながら、源氏は寝床を立ち去るのでした。
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