疲れ目に効く目薬はありますか?
スマートフィン端末やパソコンの画面を前に、長時間作業をしがちな方では、目の疲れが気になる方も多いでしょう。疲れ目に効果があるとされるOTC目薬も、数多くの製品が発売されています。
ただし、その主成分は概ね共通しており、シアノコバラミン(ビタミンB12)やネオスチグミンを配合した製品がほとんどだと思います。
医療用のシアノコバラミン配合点眼薬であるサンコバ🄬の添付文書によれば、「眼における酸素消費量を増し、ATP産生を増大させることにより調節性眼精疲労を改善する」との記載があります。
また、医療用のネオスチグミン配合点眼液であるミオピン🄬の添付文書によれば、「ネオスチグミンメチル硫酸塩は、コリンエステラーゼの可逆的阻害薬で、アセチルコリンの分解を抑制して筋の興奮を持続し、疲労等による神経伝達の低下に由来する調節機能の低下を抑制する」との記載があります。
作用機序を踏まえれば、シアノコバラミンやネオスチグミンは、疲れ目に効果がありそう……ということになるのでしょうか。
シアノコバラミンとネオスチグミンを配合した代表的なOTC目薬に、「サンテメディカル12」を挙げることができます。
一般用眼科用薬製造販売承認基準としては、最大濃度のシアノコバラミンとネオスチグを配合しているなどと謳われていますが、同薬に配合されている成分は以下の通りです。
サンテメディカル12だけに、12成分も配合しています。これ、巷にいうポリファーマシーの類でしょうか。少なくとも、12種の点眼薬が処方されている処方箋を僕は見たことがありません。
シアノコバラミンによって目の酸素消費量を増やす一方で、テトラヒドロロジンで血管を収縮させ、酸素供給を遮断するという、薬力学的相互作用をあらかじめ含んだOTC医薬品というだけでも、なんだかモヤモヤしてしまいます。
さて、サンテメディカル12の添付文書には、以下のような記載があります。
薬力学的相互作用をも含まれた製品だけに、1週間使っても症状は変わらない気もしてしまいます。ただ、百歩譲ってシアノコバラミンやネオスチグミンは、疲れ目に対する効果が期待できるものなのでしょうか。
今回は、眼精疲労に対する同成分のエビデンスと、販売対応のロジックを整理します。
そもそも、疲れ目って病気なの?
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