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やせる薬の意外な副作用!?-GLP-1受容体作動薬が食品廃棄に与える影響
GLP-1受容体作動薬は、糖尿病患者に対する血糖値や心血管疾患のリスク管理だけでなく、近年では体重管理を目的とした肥満症の治療薬としても注目されています。
体重減少に対するGLP-1受容体作動薬の効果量は、リラグルチドで平均4~7 kg、セマグルチドで平均9〜16㎏です。また、リラグルチドの投与を受けた人の50%で5%以上の体重減少を達成し、セマグルチドの投与を受けた人の50%で10〜15%の体重減少を達成することが報告されています(Taha MB,et al. 2022; PMID: 35624390)。
一方、美容や痩身、ダイエット等など、GLP-1 受容体作動薬の適用外使用によって、同薬の供給不足が社会問題となりました。厚生労働省は、2023年7月28日付の事務連絡において、同薬の適正使用、並びに医療機関における購入量の適正化を求めています(厚生労働省.2023.7)。
GLP-1受容体作動薬は、脳内の受容体を介して、食欲抑制をもたらすと考えられています(Knudsen LB,et al. 2016;PMID: 27186357)。つまり、体重減少に対するGLP-1受容体作動薬の効果は、エネルギー消費量の増加ではなく、食欲の抑制に伴うエネルギー摂取量の低下によってもたられるわけです(van Can J,et al. 2014;PMID: 23999198)。
食欲が抑制されるということはまた、GLP-1受容体作動薬を服用する前後において、摂取が可能な食材の量(食事量)が減少することを意味しており、食品を廃棄する頻度も高まるかもしれません。
今回の記事では、GLP-1受容体作動薬の服用と食品廃棄の関連性をレビューします。
GLP-1受容体作動薬に対する関心と処方トレンドの変化
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