尿素を配合した保湿剤は、積極的に販売すべきではない!?
1991年に発売されたケラチナミンコーワ20%尿素配合クリームは、日本ではじめて尿素20%を配合したOTC医薬品として知られています。尿素を配合した塗り薬は、皮膚の乾燥を防ぐだけでなく、皮膚を柔らかくする作用(角質溶解作用と呼ばれます)があり、乾燥肌の改善を目的に用いることが一般的です。ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリームの効能効果は以下の通りです。
角化症とは、皮膚の角質層(皮膚の最も外側)が厚く硬くなってしまう状態のことで、皮膚の表面がウロコ状に「ガサガサ」してしまうこともあります。
さめ肌は、軽度の尋常性魚鱗癬(じんじょうせいぎょりんせん)の俗称として用いられることが一般的です。尋常性魚鱗癬は、皮膚が乾燥して硬くなり、「魚のうろこ」のようなカサツキができる皮膚の病気です。最近では、皮膚の毛穴に発疹ができる毛孔性苔癬(もうこうせいたいせん)という皮膚の病気も、サメ肌と俗称することがあるようです。
乾皮症は皮膚の表面の脂が減少することにより皮膚の水分が減少して、乾燥を生じてしまう病気のことです。
尿素を配合した塗り薬の用途について要約すると、「膝、くるぶし、かかとなどの皮膚において、乾燥してガサガサになってしまった状態を緩和する目的で用いる」と考えれば分かりやすいと思います。
以下では、尿素を配合した塗り薬として、「ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリーム」の販売対応を前提に、乾燥肌に対する尿素配合の塗り薬を語るロジックとエビデンスを整理します。
添付文書上の「副作用の可能性がありますので……」をどう考える?
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