【新薬簡易レビュー】「“対”で備える」ツイミーグ!?
大日本住友製薬から2型糖尿病治療の新しい薬剤、イメグリミンが発売される予定です。「ツイミーグ錠」と名付けられたこの薬剤は、「“対”で備える」というコピーでプロモーションが行われています。ミトコンドリアを介した画期的な新薬といったイメージを持たせることで、糖尿病治療の新しいマーケットを広げようとする意図が垣間見えます。
大日本住友製薬の公式ウェブサイト
https://ds-pharma.jp/information/twymeeg/
ツイミーグ錠500mg 添付文書
https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/39690A9F1027_1_02/
そんなイメグリミンですが、Pubmedで「imeglimin」をキーワードに検索すると、2021年7月21日現在、29文献が見つかりました。
さらにランダム化比較試験に絞り込むと6件しか検索されません。
❖Diabetes Obes Metab. 2021 Mar;23(3):800-810. PMID: 33275318
・2型糖尿病を有する日本人299人を対象としたプラセボ対照ランダム化比較試験(第2b相試験)
・被験者をイメグリミン500、1000、1500 mg、またはプラセボに割り付け、主要評価項目としてHbA1cの24週目のプラセボ調整後の変化を検討。
・研究のフローチャート
・24週間後のプラセボと比較したイメグリミンによる平均HbA1c減少
・HbA1cの変化
・主な有害事象として感染症、胃腸障害
❖Eur J Clin Pharmacol. 2020 Oct;76(10):1393-1400. PMID: 32556539
・イメグリミンのQT延長に与える影響を検討したランダム化比較クロスオーバー試験
・健康な被験者にイメグリミン2250 mg、イメグリミン6000 mg、モキシフロキサシン400 mg、およびプラセボを単回投与
・イメグリミンでQT延長を認めず。
❖Diabetes Obes Metab. 2015 Jun;17(6):541-545. PMID: 25694060
・2型糖尿病患者におけるイメグリミンのインスリン分泌効果を評価
・2型糖尿病の患者では、イメグリミンはβ細胞機能を改善
7日間のイメグリミン治療は、グルコースに対するインスリン分泌反応を 112%(iAUC0-45、p = 0.035)、第1相インスリン分泌速度を110%(p = 0.034)、第2相インスリン分泌速度を29%上昇
❖Diabetes Care. 2014 Jul;37(7):1924-30. PMID: 24722500
・イメグリミンは、シタグリプチンへの追加療法として、プラセボと同等の忍容性で、HbA1c)を0.60%減少
❖Diabetes Care. 2013 Mar;36(3):565-8. PMID: 23160726
・メトホルミンへのイメグリミンの追加は血糖コントロールを改善
❖Diabetes Obes Metab. 2012 Sep;14(9):852-8. PMID: 22519919
・2型糖尿病患者の血糖コントロールに対するイメグリミンとメトホルミンおよびプラセボの安全性と有効性を比較
・血糖コントロールに対する効果はメトホルミンと同等
当たり前と言えば当たり前ですが、現時点において合併症予後に関連するエビデンスは存在しません。