見出し画像

Clubhouseで思い出した…2021年1月末、Ustreamってどうなん?

音声SNS・Clubhouseの登場で、また新たに「配信」プラットフォームが盛り上がりそうだ。今や、誰もが手軽に自分を売り込める時代。テキストだけではなく、じかに自分の言葉を届けるのもたやすくなった。

僕自身も「いよいよやらんとイカン…」と目に見えない焦燥感に駆られる毎日なのだが、そんなときにふと、ある一つの疑問が浮かんだ。

あれ、Ustreamって今どうなってるの?

そう、YouTubeはすでに登場していた2010年前後。ライブ配信アプリとして一斉を風靡していた「Ustream」の存在だ。

●東日本大震災で国内の認知度を高めた

Ustreamは、2007年にサービスを開始した動画プラットフォームだ。日本でのサービス開始は2010年。映像の生中継といえばまだまだテレビ一択で、なおかつ、スマホがなかった当時としては、パソコンに映像を出力できる機会さえあればネット経由で誰でも配信できるというのは、画期的だった。

しかし、いつの間にか名前を聞かなくなっていたの事実である。そこで、現在までの経緯をたどってみたところ、ITジャーナリスト・三上洋さんによる以下の記事「さらばUstream、10年で消滅。IBM Cloud Videoへ完全移行」(2017年4月5日)にたどり着いた。一部、引用してみる。

2017年4月、Ustreamの公式Twitterが、非公開アカウントになりました。(中略)3月21日にはUstreamのFacebookページの名称が変わっており、4月1日には公式ブログで「UstreamブランドからIBM Cloud Videoへと移行する」とのアナウンスが出ました。

この記事によると、日本国内で浸透するきっかけになったのは、2011年3月に発生した東日本大震災。「地上波テレビの同時放送(サイマル配信)」が行われたことで一般的にも認知され、アーティストなども参加し、2010年代前半にかけて最盛期を迎えた。

アイドル好きな僕も、当時、いくつかのグループのライブやイベントを配信で見た記憶がある。ネットサービスの栄枯盛衰は本当に早いというか、振り返ってみると「十年ひと昔」を数える前に、衰退してしまったというのは驚きと共にちょっぴり悲しくなった。

●久びさのログインでちょっとした黒歴史に出会う…

では、今のUstreamはどうなっているのか。数年ぶりにアプリをインストールして、その中を覗いてみた。

さっそくログインしようと思ったが、何しろどれほど前なのかも覚えていない…。ただ実は、2010年代前半、地元の地域活性化イベントで関わっていたときに使っていた記憶が何となくあり、かろうじてメールアドレスだけは現在と変わらずに登録していたのを覚えていた。

とはいえ、ネックになったのはパスワード。この時代にまさか、Ustreamの「パスワードお忘れですか?」欄をタップするとは思わなかったが、それでも、彼らが何だか「久々ですね、フフフ…」と語りかけてきたような気がした。

久びさにログインしてみたら、まさか自分が「シュナイデル」とか、いくら偽名とはいえ黒歴史というかもはや、時空のエアーポケットに吸い込まれちまえぐらいのハンドルネームを使ってるとは思わなかった。当時、すでに30歳前後だったのに….。

メガネもいまだ変わらずとはいえ、たぶん、当時は気取って書いていたはずのイラストにも正直、ムカッと来た。

●配信を試みるも、まさかの事実にたどり着く

まあ、僕のログイン情報はもういいとして…。ひとまず、アプリ上部「人気の番組」をタップしてみたら、リアルタイム配信中の番組はどうやらゼロ。過去の番組も調べたところ、海外発のコンテンツばかりで、確認した限りでは最新が「3週間前」となっていた。

試しに「日本」で検索してみたところ、アーカイブに残っている動画だけでもどうやら数年前のものばかり。リアルタイム配信はもちろんゼロ。おまけに「今後の番組」も当然ながらゼロで、かつての隆盛はどこへ行ったのかと寂しくなった。

と、せっかくだからとめっちゃ久びさに「配信してみるか」と思い立ったのだが、ここでまさかの事実を知った。

せっかくの機会だし、久びさにと配信をしようとも、何度も繰り返し出てくるのは「配信は開始できませんでした」のメッセージ。この時代にまさか、Ustreamで配信できない理由を検索するとは思わなかったが、実は、サービス自体が2018年8月から完全に有料化していた。

どうやら現在は、完全にBtoB向けのサービスになっていて、学会のセミナーなどを中心に活用されているようだ。

振り返ると、ライブ配信の先がけだった一方で、時代が早過ぎたのかとも思えるUstream。とはいえ、その火は完全に消えたわけではなく、名前は変わってしまったものの、草分けとして今なお存在し続けている。

みなさまからのご支援は、日々の企画や取材に活用させていただきます。ご愛顧いただければ幸いです!