
投てき種目の授業「競技会のための授業をしない」
投てき種目の授業では、「投げる」動作を多角的に体験し、投げる楽しさを知ることを目的としている。
スポーツに自信のある生徒だけでなく、「投げるのが苦手」「これまで遠くに投げられたことがない」という生徒にも、成功体験を積んでもらうことを大切にした授業設計になっている。
そのため、特定の種目に絞るのではなく、軽いもの・重いもの・形の違うもの・回転のかかるものなど、さまざまな投てき物を扱うことで、自然に「投げる感覚」を養っていく。
授業の流れ
ジャベリックボールを投げる(基本の投げ動作を体感)
肘の使い方やリリースポイントを意識しながら、遠くへ投げる感覚を身につける。
ジャベリックボールと発泡スチロール製の野球ボールを投げる(軽いものと重いものの違いを実感)
軽いものは「スムーズな腕の振り」が重要、重いものは「体全体の使い方」が重要になることを学ぶ。
ジャベリックボールと通常の野球ボールを投げる(形状の違いによる投げ方の変化を学ぶ)
スパイラル回転をかけるジャベリックボールと、ストレートを意識する野球ボールの違いを体感する。
野球ボールで球速、ジャベリックボールで距離を測定する(計測を通じて成長を実感)
数値を通じて、自分の成長や得意な投げ方を確認する。
砲丸投げの理論とルールの説明(安全に取り組むための指導)
砲丸投げは通常の投げ方と異なるため、正しいフォームやルールを理解してから実践に入る。
砲丸は重量があり、危険を伴うため、安全なフォームで投げることを最優先とする。
砲丸投げの練習(フォームを学びながら実践)
下半身を使った投げ方を意識し、ステップごとに技術を習得する。
距離よりもiPadで撮影し、理想的な動きと比べて何が違うのかを考える。
無理に力いっぱい投げることでケガをする生徒を減らし、安全かつ効率的なフォームを身につけることを重視する。
砲丸投げのグループワーク(iPadでフォームを撮影し、ワークシートを作成)
撮影したフォームを振り返りながら、自分の投げ方を改善するポイントを見つける。
グループでの協力を重視し、安全な行動ができるかどうかを成績の一部に加える。
これにより、危険な行動を減らし、力のない生徒でも一生懸命取り組める仕組みにする。
重点を置いているポイント
1. さまざまな形状のものを投げることで、投げ方の多様性を体験する
ジャベリックボール → スパイラル回転を意識する。成功・失敗が視覚的にわかる。
発泡スチロール製ボール → 正しく投げると真上にホップするため、成功・失敗が視覚的にわかる。
野球ボール → ストレートの投げ方を意識し、力強く投げる感覚を養う。
2. 成功体験を積める仕組み
「うまく投げられたときの違い」を視覚的に理解できるようにする。
回転の安定・ボールの軌道など、結果が目に見える形で確認できる工夫を取り入れる。
記録を測ることで、自分の成長を実感できるようにする。
3. 砲丸投げでは「安全な動作の習得」を重視
砲丸は重量があり、無理に力任せに投げるとケガをするリスクが高い。
距離を競うのではなく、iPadを活用して理想的なフォームと自分のフォームを比較する。
安全かつ効率的な投げ方を身につけることを最優先とし、フォームの改善を中心に評価する。
グループでの協力を促し、安全意識を高めることで、力のない生徒でも一生懸命取り組める環境を作る。
投げる動作の上達のポイント
1. 「上半身 → 下半身」の順番で指導する
ここから先は
¥ 100
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?