映画「もったいない」を再考しよう。
もうこの映画が上映されてから6年たつかと思うと、時の流れの速さを感じずにはいられない。ラジオで町山智弘さんの解説をなんども聞いて、必死にメモをして授業に使っていたかつての自分を思い出す。
あれから6年たつが、この映画の啓発していたことは改善されることなく、むしろこの映画が「こうなるから危険だ」ということが依然として続いているし、悪化している。
わからない感覚を可視化していく
この映画の冒頭では大量の賞味期限切れのパンが運ばれ、捨てられるシーンである。
世界の食料の3分の1は廃棄されている(年間13億トン・金額75兆円)
栄養が十分にとれない人 約10億人(年間1500万人が飢餓で死亡・4秒に1秒のペース)
という規模が大きすぎて自分の感覚ではわからないことを可視化していく。そして食料が廃棄されていく原因を探っていくスタイルで進行していく。
飽食の時代を可視化する
スーパーマーケットではいつもピカピカのリンゴやオレンジなどが大量に並べられている。見た目にはとても奇麗であるし、購買意欲をそそられる。(実際に自分も海外のスーパーマーケットやホームセンターなどの写真集は持っていたりする。)でも、その大量に積まれた野菜や果物はすべて購入されるわけではない。賞味期限が来たら当然廃棄される。
「大量生産大量廃棄」
そういう現状である。そもそも果物がピカピカなのは農薬のせいである。広大な土地で大量に作るアメリカスタイル。それが次のリスクを引きおこす
体と土を殺すモンサント
原爆を作っていた会社が戦争が終わるとともにはじめた農薬会社モンサント。モンサントの農薬をつかうと、雑草が一切生えない。それでは食べ物も育たないのではないか?と思うところだが、モンサントは一歩先をいく。モンサントの農薬でも育つ種をセットで売りつける。そうすると雑草などきにすることなく大量の食べ物を作ることができる恐ろしい儲けのシステムが出来上がる。
体へのリスク
まず、農家の発がん率がびっくりするぐらい上昇する。これは映画をぜひ見てほしい部分である。農家は大量に作り大量に出荷して生活しないといけない。隣のだれかにモンサントを使われると対抗できなくなるので自分も使わなければいけない。というジレンマの中で戦っている。
次に消費者の健康である。大量に作っているので農薬がついているのは当たり前。アメリカの映画でリンゴを服でごしごしと磨いてから食べるシーンをご存じではないだろうか?わからなければそのオマージュをレイザーラモンRGがインスタでリンゴかじるシリーズをやってるのでみていただきたい。中国では野菜果物を洗う洗剤が売られている。日本にいると気付かないが世界のスーパーマーケットはこんな感じなのである。もし、洗いきることができずに長年食べ続けることになったら。。。
土のリスク
モンサントの農薬を絶対使わないという農家が出てくる。なぜか?と理由を聞くと土が死ぬからだと答える。土の中は一つの生態系である。それが原爆を落とされてむちゃくちゃにされた広島のように、原子力発電所がメルトダウンした福島のように、土の中が破壊されることを意味する。
つまりモンサントを使うとモンサントから離れられないシステムになっている。
廃棄物の行方
「廃棄物を家畜に与えてはいけない」というルールがある。(日本はOK)
なぜなのか?それはトウモロコシ業者がもうからないから。という仰天の事実がある。誰かが儲かるために余ったものがゴミになっていく。この循環を止めない「貧しいものがより貧しくなる世界」が続いていく。それは必ず人々を抑圧し、その感情は攻撃(テロ)に変わっていく。世の偉い人。なんとかしてよ。
そして最後は「水」の話で締めくくられる。
上流を買う→下流に高く売りつける。という構図である。日本で行うならば滋賀県が京都と大阪に法外な値段を吹っ掛けるようなものである。これはヨーロッパで当時問題になっておりキットカットのあの会社の名前が挙がっていた。時を経て現在、状況はよくなっているどころか日本でも水の民営化の議論や山や河川という日本最強の資源が海外に買われている事実が聞かれるようになった。本当にどうなるんだ日本と嘆きたくなるが、なんとかしていくしかないので自分は教室で啓発していきます。
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