父のこと8

珍しく
午後7時前に電話をかけてきた

弟のこと、兄のことを順番に聞いてくる

そして
昨日だか一昨日に自分の役目は終わったような気がするんだと言う

片足なのか片手なのか全く分からないが、空に引っ張られているのかもしれない

まだきっと大丈夫と思ったり

転移で痛むからだのせいでのむ痛み止めと
末期ガンで表れるせん妄を起こしてしまう現状から解き放ってあげたいと思ったり

看取る側も複雑だと感じるけれど
本人はさらに複雑なのだろうと思うのだ

きっとやりたかったこと
食べたかったもの
まだまだたくさんあるはずだ

ほんの少し前まで自分の足で歩き、亡き母の写真がある仏壇にお茶とお花を供え、買い物をし、風呂を沸かし、顔を洗い、床屋へ行き…

それがあたりまえだったのに、突然痛みで起き上がれなくなってしまったのだから

本人も看取る側も悔いばかりかもしれない


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