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「想い出まくら」の岡崎友紀 三連連唱の調べ[6]

☆☆☆☆(拍頭連唱歌、切分連唱歌)
拍頭単連唱または拍頭複連唱を多く含むもの。
長さ10以上の連唱を含むもの。
切分連唱や切分準連唱を多く含むもの。
  
[04] 氷雨☆☆☆☆(とまりれん、佳山明夫)
[05] 想い出まくら☆☆☆☆(小坂恭子)
 
強拍からの拍頭単連唱を重ねる2曲。それにしてもこの2曲、よく似ています。
 
「氷雨」の日野美歌はカバーであることは後になって知りました。オリジナル(元祖)だけがよいとは限らないと前々回「能登半島」について書いたばかりですが、「氷雨」の歌唱については(平均して)佳山明夫に一日の長があるように思えます。
 
「想い出まくら」には多数のカバーがあるようです。八代亜紀、森昌子、小柳ルミ子…といった“大物”ですと、それぞれ歌手の良さ=“大物ぶり”の再確認はできても、曲の歌唱自体に惹かれるという感じではなくなります。
 
林あさ美は無いようで、残念です。
 
…ということで、10人以上聴いた中では、長山洋子がいいですかね。誰でもつい崩したくなる箇所もオンビートで過ごしながら、フレーズの急所を引き立たせる歌唱となっています。崩さずとも聞き手を引き込む節回しは作れるのだ、ということを体得している人であることが伝わってきます。次いでは、椎名佐千子、森山愛子にも、類似の良さを聴き取れました。
 
けれども私が最も驚いたのは、岡崎友紀です。
 
ほんもののマルチタレント、ここにあり。今この時代になってようやく彼女のすごさに気づき、視聴できるものを次々と散策しては深く首肯しているところです。TVでの活躍当時からそのことを知るには、残念ながら私は少し幼過ぎました…。最近もライブ活動などされているようで、幸いです。
 
「想い出まくら」でも、癖のない澄んだ美声による細やかで気遣いの行き届いた発音発話についつい惹かれていくと、「話してーえーよ」の「え」で裏返り、あれ外した?どうした?と思って、2番に来ると、また全く同じようにぶれずに裏返る、そうか、裏返るのではなく裏返しているのか、と気づき、最終リフレインに来て耳を澄ますとやはり。3度の同じ「外し」は、もう意図的な表現である証拠です。その確かな技術性。──ちゃんと3回歌っていると信じますが…、仮に1テイクを使い回したのだとしても、そうしたくなるくらいその1回がパーフェクト…という気持ちはよくわかるから許す、といえるほどです(笑)。──
 
「氷雨」
佳山明夫
https://www.youtube.com/watch?v=qCYx0qo7Jtg
 
「想い出まくら」
小坂恭子
https://www.youtube.com/watch?v=KOmqSISgG6o
 
長山洋子
https://www.youtube.com/watch?v=HfQQcja_SB0
 
岡崎友紀
https://www.youtube.com/watch?v=qByWzzbb_w0

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↑写真は採譜例です。「原譜」(があるとしてそれ)は不明なままの、あくまで一例です。歌なので本来は符尾を非連桁にすべきですし、拍子も採譜としての可能性の一つに過ぎません。その辺りご了承頂きたく。

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