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僕にまかせてください 三連連唱歌の調べ[5](短調編)


[03] 僕にまかせてください☆☆☆☆☆(さだまさし、クラフト)

さだまさしのグレープ時代の提供曲の佳作。婚約相手の母親の墓に参る歌。相手を失う「精霊流し」よりはまだしも明るい歌といえます…。歌い出しから、流麗な「切分14連唱+拍頭複連唱」。「流麗」というのは、「津軽海峡」や「能登半島」のような「同音程の畳みかけ」ではなく隣接2音がすべて異なる音程で連なる、という著しい特徴のことを指します。四七抜き(でないのにそう)かと思うほど素朴、でありながら似ている曲が他にない、ピアノ独奏に向いているような独特な旋律線です。サビでは拍頭単連唱が多発(こちらは同音程も有)、それが2番では「彼岸過ぎ[たら]」と一部切分連唱に変化するのも味わいがあります。Wikipediaにはタイトルについてのエピソードが載っています。曲自体を直に見れば、やはり作者の意向だったと言われる「彼岸過迄」の方が断然ふさわしいと私には思えます。

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☆☆☆☆☆(多連唱歌)

長さ10以上の連唱が複数箇所に認められるもの。連唱度の高さを☆の数によって五段階に分けています。☆の数毎の呼び名と説明は、「定義」や「類別」とは違って、もっと緩い、一つの目安として付けています。

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僕にまかせてください(クラフト)

https://www.youtube.com/watch?v=5ticMcjrdXE

ここで余談を一つ。定義集に「連唱の次数」というものを載せました。↓

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(8) 連唱の「次数」

「『1つの連唱に含まれる拍頭音の総数』から1を引いた整数」を連唱の「次数」という。次数がnで長さがkの連唱を「次数nのk連唱」または「n次(の)k連唱」という。

例えば,以下の連唱の次数はいずれも2である。

(8-1) 拍頭からの長さ7以上9以下の連唱

   j i i j i i j,j i i j i i j i,j i i j i i j i i

(8-2) 拍央からの長さ9以上11以下の連唱

    i i j i i j i i j, i i j i i j i i j i ,i i j i i j i i j i i

(8-3) 拍尾からの長さ8以上10以下の連唱

    i j i i j i i j, i j i i j i i j i ,i j i i j i i j i i

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この「次数」は、定義集未読でもほぼ理解可能な他の諸用語とは一線を画すため、本文に使うのを遠慮しています(頭掻)。このまま『ウルトラセブン』のカプセル怪獣以上に“登場しない”用語になるかも。

ただ「次数」にもちょっとした面白みはありまして、これを使って、個々の曲を連唱の観点のみから抽象化した

連唱多項式

というものを導入できます。

精霊流し…3x^3+20x+1(「愛した」を準連唱と見做した場合)

心のこり…5x^2+5x+4

津軽海峡冬景色…3x^6+x+6(「ときから」を連続音と見做した場合)

(例えば「x^2」は「xの2乗」を表す。)

……

というように、次数nの各曲にn次多項式を対応させるのです。これを使うと「連唱の度合い」を様々に数値化することもできそうです。題して『多連唱解析の理論~連唱多項式とその応用~』(笑)。いや、実はさらにふさわしい数理モデルもあるのかもしれません…。

しかし、本稿の目的はあくまで三連連唱の歌の紹介と解説にありますので、数理モデルの詳細には立ち入らないことにします。したがって、本稿の☆の数も、数理的な一意性などはなく、初めに断った通りあくまで私の主観・感覚に依って付けたものです。

余談はこのくらいにし、次回からは短調編☆4つの曲を採り上げていきます。このグループこそが三連連唱歌の典型といえます。

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↑写真は採譜例です。「原譜」(があるとしてそれ)は不明なままの、あくまで一例です。歌なので本来は符尾を非連桁にすべきですし、拍子も採譜としての可能性の一つに過ぎません。その辺りご了承頂きたく。

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