【集の本棚】月夜に、散りゆく君と最後の恋をした / 木村咲
著:木村咲
イラスト:海島千本
出版:スターツ文庫
ただ、1度会いたい
お花屋さんの男の子と、お花の香りがする女の子の最初で最後の恋の物語
定番でありながらスパイスの効いた、とても感動できる1冊です。
あらすじ
鼻が利く花屋の息子、明日田。彼は花の香りがする氷の女王、莉愛と出会う。ある日、校舎裏に呼び出されていた彼女を見ていられず、飛び出すも彼女に余計なことしないでと平手打ちされ、困惑する彼であったが、唐突に倒れてしまった彼女を介抱することに。
彼女の秘密を知った明日太は見守り役に任命される。自由奔放な彼女に振り回されながらも楽しい日々をおくる明日太。彼と彼女は、刻一刻と迫っている最後の時までに
多くの約束を誓った。
菊川明日田
「いい匂いだった。すごく」
「花は枯れるから、散るから綺麗なんだ。散らない、枯れないのは花じゃないよ」
花屋の跡取り息子。お花が好きで、小さい頃から花に囲まれれ育つ。とても鼻が敏感で、莉愛さんから香る微かな花の匂いにも気づいていた。
やる時は、しっかりやるやつ。同じ男ながらにかっけぇなと思いました。
最音莉愛
「会いに来たの。花屋さんの菊川明日太くん」
「わたしは綺麗に散りたいの。潔く、美しく散りたいの」
身体から花の匂いがする奇病、花化病にかかり余命わずかと宣告された、氷の女王。強気で近寄り難い子だったが、寂しがりで相応に弱い一面も。
明日太と離ればなれになってしまう、その時のために多くの"約束"を遺していく彼女はとても優しく、分かってはいても、すごく寂しかったです。
さいごに
不治の病と向き合い、葛藤しつつも、お互いに寄り添い支え合い終わりを迎える。泣ける物語の王道で定番で、個人的には辛いし悲しいし救われないなんて......思いますが、やっぱりこのような美しく残酷で、やるせない物語は大好きです。彼ら彼女らのこの物語に触れることが出来て嬉しく思います。奇病で期限付きの恋の物語。たしかに同じような物語には多く触れていますが、いつまでも泣かされます。
人が感動するのは愛と死について書かれた物語だと聞いたことがあります。この物語の彼らもそれぞれの死と愛に向き合っていいく姿がとても感動的です。
そして、この物語を綴ってくださった木村咲さん、素敵な表紙イラストで更に彩りをくださった海島千本さん、そのほか関わった全ての人に感謝を、
明日太ではありませんが、僕も明日も頑張っていく勇気をいただきました。
ありがとうございます!
そしてそして、拙い文章ですが、ここまで読んでくださった方々もありがとうございます!
もし気になったらお手に取って読んでみてください。その時は感想など語りましょう〜