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泥酔いジャック
1973年ランブリンジャックエリオットが来日すると知り、ある都市の比較的大きめな箱のコンサートに出かけた
若き日にウッディと旅をし、その子アーロガスリーや、ボブディランに親戚のように慕われたレジェンドだ
その日は客入りが悪かった 確かに世界的にファンを持つカンツリーフォーク界の歴史的シンガーだが、その都市では彼を知る人は少なかったということだ
だいたいあの年の彼のジャパンツアーは客入りが悪く大失敗であったのだ
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前座が終わりいよいよ
ご本尊……
ところが、いつになってもステージに現れない、西岡たかしが、犯人連れて来るように、なんとかやっと登場した彼はヨロヨロで誰が見ても酩酊していた
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グッドナイトアイリーンを歌い出したが、それ以上続かなかった
仕方なく前座の西岡タカシが、また数曲歌い、酔っ払いオヤジの肩を担いで袖に消えたものだ
観客少なく文句の言いようもなく僕らは不完全なまま帰路についたのだが、伝説のホーボーのことだからと、心の中の我をなだめるので在った
その後何十年かして、彼は復活したかのように、活発にライブ活動を行い、あの頃以上に有名な、まさにレジェンドとなったので在った
こうなると酷い時期を垣間見た僕の思い出も、何か
底に澱の沈殿した旧いワインを地下の棚でみつけたような、よろこびや価値もあるのでないかい
#大場章三
#Ramblin ' Jack Elliott
#Goodnight , Irene