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「ライトノベル」は「本屋大賞」を受賞できるのか
ライトノベルの『誰が勇者を殺したか』(著:駄犬)は「本屋大賞」を取るべきだと思う。
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今まで「本屋大賞」の本は数冊だけ読んだ事があるけど、全部素晴らしくて面白い。
でも、食べ物に例えて言うと、みんな和食って感じがする。
「本屋大賞」が仮に「食べ物大賞」だとすると、受賞してるのは、寿司、月見うどん、トンカツ、海老の天ぷら、肉じゃがとかになってる感じがする。どれも美味しくて、感動するけど、もはや「和食大賞」になっている。
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そこで、登場するのがピザだ。
和食も良いけど、どうせなら異文化の美味しい料理も味わいたいし、知りたい。
ライトノベルと言うジャンルは「本屋大賞」にとって異文化となり、本の可能性と読者層の広がりを後押しする気がする。
でも、ライトノベルだから、良いと思う訳ではなくて、『誰が勇者を殺したか』という本だから良いんです。
内容が読みやすく、本を読むのが苦手な人も読みやすいと思う。
しかも、ファンタジーを受け入れるのなら、あらゆる年齢層(小学校高学年〜60代くらい)の人でも楽しめると思う。
この本は面白い波がずっと来る。
体感的に5分に1回面白く、20分に1回めっちゃ面白い。
これは、本を読むのが遅い僕にとっては驚異的です。
ネタバレせずに是非、読んで欲しい。
一言だけ言うなら、勇気が貰える本です。
【後書き】
2021年本屋大賞の『52ヘルツのクジラたち』(著:町田そのこ)の解説を書かれた内田剛さんの文章で
このようなひとつの伝説ともいえるシンデレラストーリーの肝は、もちろん図抜けた作品力ではあるが、忘れてはならないのはその物語に感銘し、絶大なる信頼を寄せて、ただシンプルに一人でも多くの読者にこの本の素晴らしさを伝えたいと行動を起こした同志たち(書店員、出版社、関係者)の力である。いい本が売れるわけではない。よきサポーターと出会った特別な一冊が人々の心を突き動かしてベストセラーとなるのだ。
と書かれていた。
すごく納得できるし、共感する。
作品力があって、面白くて、良い本ってたくさんあるんだと思う。
だから、本の良し悪しは売れてる、売れてないでは測れない。
運と情熱と意志の掛け合わせで、「売れる」は生まれるんだと思う。
『誰が勇者を殺したか』のあとがきにて、著者の駄犬さんは「本屋大賞が欲しい」という意志を見せました。
その意志はやっぱり「本屋大賞」に大きく近づいた気がします。
というか、その姿勢にまた勇気を貰えました。
「本屋大賞」を受賞しても、しなくても、この本は間違いなく良い本です。
僕はただの一読者なので、この本を読めた時点で大満足です。
でも、もし『誰が勇者を殺したか』が「本屋大賞」を受賞したなら、面白い世の中だと、もう一度ニヤリと笑えますね(笑)