オリンピックの好きなやりとり。

競技が終わったら、出場した選手へのインタビューが必ずあります。

勝とうが負けようが。

メダルの色がどうであろうが。

勝った選手、金メダルの選手は、

「ありがとうございます!」

って、言います。

もう、最高の笑顔で。

インタビュアーも、「おめでとうございます!」って迎えますし。

でも、負けてしまった選手、結果が思わしくなかった選手は、ものすごく言葉を選びます。

で、だいたい「すいません」って言います。

特に、銀メダルを獲得した選手が、いちばん悔しそうに、

「…すいません」

って言うんですよ。

悔しそうに、なんとか言葉を絞り出すように。

で、それを聞いてた解説の人とか、元アスリートのゲストが、

「謝らないでほしいです」

って言うんです。

…あのやりとりが、結構好きなんです。

なんか、どっちも優しくていいんですよね。

それで、どっちの気持ちもわかりますし。

あの時の「すいません」って、色んな感情がこもってると思うんです。

「みなさんを喜ばせたかったのに」っていう気持ちだったりとか。

悔しすぎて、言葉が出なくて、なんとか選べた言葉が「すいません」だったりとか。

「応援してくれたのに」っていう気持ちもあると思います。

この、「応援してくれた」ってことに対しては、金メダルなら「ありがとうございます!」って笑顔で言えるんですよね。

でも、そうじゃないから「すいません」になってしまう。

だから、あの「すいません」には感謝も含まれてるんだと思うんです。

 「謝らないでほしいです」って言うのも、あの「すいません」を受けとる言葉として最上級に優しいと思うんですよね。

たくさん感動させてもらったし。

いろんな興奮があった。

だって、応援してるだけで楽しいんですから。

アスリートのプレイから、どれだけ力をもらえてるかって話なんですよ。

だけど、本人が悔しがってる結果に対して「立派でした」とか「すごかったです」って言うのも、ちょっと違う。

逆に、失礼になる気もしますし。

だから、「謝らないでください!」って。

この「謝らないでください」にも、感謝は含まれてますよね。

 

すごく、人の優しい部分がでてる会話です。

好きなんですよね、あのやりとり。

あんなやりとりが生まれないのが、そりゃあ1番いいんでしょうけど。

それでも、あのやりとりに、優しさとか、相手への礼儀とか、人間らしさみたいなものを感じてしまいます。

そして、「スポーツっていいなぁ」って思うのです。


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