ダウン症のある子どものリハビリについて 質問&回答 その23
Q:2020/7/31 18:28 当事者の家族 9歳
小3の息子のことで質問があります。小1で真野先生の整形診を受け大変勉強になり、また希望を抱かせて頂きとても感謝しています。 その際、全体のバランスはいいが骨盤がまだ前傾しているので、片足ずつ前後に踏み込むランジのような運動をするといいと教えて頂いたのですが、実践して頂いたにも関わらず覚えられませんでした。 また、ダウン症はアイーンの動作のような顎を突き出した受け口になりやすく、そうなると声が出しづらくなるので受け口にしないことが大事ということで、受け口を予防・改善する方法も教えて頂きましたが、これも覚えられませんでした。 上の2点が書いてあると思い、書籍を購入させて頂きましたが、私の読解力不足で該当項目を見つけることができなかったので、どの項目を読めばいいのか教えて頂けますでしょうか? よろしくお願い致します。
A(真野Dr):連絡いただきありがとうございます。9歳になりましたね。社会性を獲得する年齢ですね。お話し好きですか?優しいお子さんになりましたか?
ランジステップ(突進歩行)を覚えるためには、ダイナミックな方法が良いです。215ページのように倒れこむ方法、226ページのように後ろから突き飛ばす方法があります。実際には、前方にマットやソファーを置いて、先生方の協力をいただいて、安全にかつダイナミックに練習するとよいですね。その際に足のステップを覚えると良いです。(歩けた後に、stage5の練習をやってみることになります)
今後は歩行を洗練させる練習(stage6~15)のなかで、得意な練習を取り入れるとよいです。
ダウン症児に言語治療が大切であることは、これからお話ししていく予定です。Man to manの葉の訓練を受ける機会を持てるようにしたいと考えています。頸椎の動きに関しても本には載っていません。こちらもこれからお話ししていく予定です。
Q:2020/7/31 20:51 当事者の家族 8歳
勉強会、大変参考になりました。また、時間に制約がありなかなか勉強会に参加できないので、オンラインは大変有難いです。実は息子はソトス症候群の診断を受けています。靴に悩んでいたので、ダウン症のお子さんのいる友人から紹介を受け、拝聴いたしました。外反偏平足の写真を見て、息子の足と同じで驚きました。また、息子は片側肥大があり、右足は左足より2㎝程長いです。インソールと靴の穂高をしています。靴裏全体を1.5㎝穂高していましたが、靴が重く、返りもありませんでした。歩きにくいと思い、主治医に相談し、現在踵側の半分だけ穂高しています。このような方法でも問題ないのでしょうか?また、足の幅も広く、自分で履ける靴を見つけるのが一苦労です。幅に合わせるとサイズも大きくなり、合っていないだろうなと思っています。なかなかいい靴が見つかりません。つま先が空いている場合、何か入れた方が宜しいでしょうか?また、応えにくい質問とは思いますが、幅広の靴で良いメーカー等ありましたら教えてください。お手数おかけしますが、よろしくお願いします。
A(真野Dr):偏平足を評価する際、踵骨の状態を確認してください。ソトスのお子さんの場合は、下腿三頭筋(アキレス腱)が硬くなって踵骨が外反することがあります。その場合は補高、マッサージ、ボツリヌス治療なども検討します。
補高する場合は、インソール(靴の中)、アウトソール(靴の裏)があります。アウトソールを作ると踏み返しができません。踵だけを補高する方法もあります。
足幅は、踵骨の傾きと中足部の状態の評価が必要です。踵骨から矯正するのが基本です。靴型装具を作製するとよいのですが、重くなってしまいます。前足部が空く場合は、踏み返しができるようにスペースを埋めることもよいと思います。
脚長差が20㎜であれば、工夫ができるかもしれませんね。
Q:2020/8/1 8:27 当事者の家族 2歳5ヶ月
3回のシリーズ、新しい知識と真野先生のご解説と実践的な内容でたいへん勉強になりました。このような機会に心より感謝申し上げます。ただいま2歳5ヶ月で、歩き始めてから4ヶ月ほど経つのですが、両足の爪先を持ち上げて歩く癖(爪先が斜め前方に反り返っているような状態)がなかなか直らず気になっています。立っているときは爪先を床にぺたりとつけることもできますが(でも割と反り返りがちです)、歩くと力が入るようで反り返ります。向かい合って立ち、両手をつないでゆらゆら揺れて遊びながら重心移動をさせたりしてみているのですが効果に確信が持てず、ほかにどのようなアプローチがあるのかお聞きできたら嬉しいです。よろしくお願いいたします。
A(真野Dr):ありがとうございます。2歳5か月で歩行していらっしゃいますね。頑張りましたね。
文章からは、踵に荷重した後方荷重のままで、踏み返しが十分でないと思われます。ステップの練習をすると、踏み返しを覚えます。215ページの突進の練習、226ページの突き飛ばす練習など、乱暴ですが安全に楽しくできるとステップを覚えるかもしれません。
もう1点はstage5にあるように、歩行距離を伸ばすが大切です。日本とアメリカの違いはこの部分かもしれません。長い距離をいかに歩かせるか。介助したり歩行器を使ったりどんどん歩かせています。翻訳する際に、205ページの事実に愕然として何度も読み返したのですがどうやら間違っていなかったようです。ダウン症のない14歳児の場合、1時間に500~1500ステップ歩くこと、サッカー競技場の29倍の距離を9000ステップで歩くことが記載されており、ダウン症児も同じだけの距離を歩くことが必要であるとされています。
誰が介助するのか、いつ歩かせるのか、どこで歩かせるのか、悩んでいる場合ではないのかもしれません。何とか工夫してどんどん歩く様にしていきましょう。
【参考図書】
ウィンダーズ先生のダウン症のある子どものための身体づくりガイド おうちでできる練習BOOK 原著第2版
オープンチャット「小児地域リハ研究会」
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