見出し画像

経済学的にマスコミが選挙で日本を食い潰すとは、どういうことか?

2024年7月、今週末の7日、東京都知事選が行われる。

立候補者は過去最多の56名である。


☆☆☆



都知事選について私が一番最初に都民に不審を感じたのは1995年の事だ。

1995年の都知事選では8名が立候補した。

経営者であり起業家でもあり、そして、世界のトップコンサルタント企業として知られる、マッキンゼー・アンド・カンパニーでアジア太平洋地区のトップコンサルタントの地位を確立し、アジア太平洋地区の会長でもあった大前研一さんは、この第13回の都知事選に立候補した。

彼は当時の手記でこう語っている。

”一生懸命選挙演説しても駄目だった。
都民の前で適切な政策を訴えても意味がなかった。

東京をよりよくすることはできなかった。”

1995年の都知事選で一体何が起きたのか?


第十三代東京都知事になったのは、みんなの前で一生懸命演説した大前研一さんではなかった。

一度も選挙演説をしなかったタレントの青島幸男が、東京都知事として初当選を果たした。


どうして、街頭に立ち、選挙演説をせず、自分が成し遂げたい政策を訴えず、青島幸男は当選したのか。

大前さんの手記にはこう語られている。

"一生懸命演説したけど、駄目だった。

タレントの青島さんが、テレビに連日出演し、青島だー!

と言うだけで、これだけで計り知れない程の知名度と好感度を獲得でき、選挙活動すらせず、票を獲得できた。"

一生懸命考えた政策、都民を豊かにする政策。

そんなものよりも、知名度こそが集票に一番寄与していた


政策など日本人は何も見ない。

知らない人の適切な経済政策より(そもそも日本人は経済政策どころかマクロ経済学すら履修していない、金利と景気と失業率の関係すら理解できない)、知っている人、テレビに出ている人の安心できる笑顔のほうが、票の獲得に繋がるのが我が国選挙の特徴である。


政権与党自民党の選挙対策本部はこれをよく理解している。

だからスピードスケートと自転車競技でオリンピック日本代表となった、東京オリンピック競技担当大臣の橋本聖子や、元SPEEDのメンバーで、トップ・アイドルだった今井絵理子議員など、テレビによく出演し、経済政策も税財政政策も全く理解できない政治素人の知能の低い人間を党の公認候補とし、見事当選させた実績がある。

アイドルのときと同じようにがんばりまーす!

政治については、当選したあと勉強します。

知名度さえ高ければこれで当選してしまう。

自民党議員はこれをよく理解している。


2023年12月、自民党議員は98人が裏金を着服し3名が逮捕された。

残り95名は裏金キックバックを受け取っていながら証拠不十分で起訴されず、犯罪を犯したものの、脱税したのに、逮捕されなかった。

着服額が少ないというだけで、犯罪者がいまも政権与党に95名もいる

この犯罪者を逮捕できない、議員を罰する法律を作ってこなかった事態に国民の怒りは爆発し、岸田内閣の内閣支持率は絶えず過去最低を更新し続けている。

しかし解散権を持つのは他ならぬ犯罪者、自民党総裁であり、内閣支持率などあってないようなものである。

それを自民党議員はよく理解している。

そして彼ら自民党議員は岸田総理では選挙で戦えない。

今年9月末日に行われる自民党総裁選で新総裁を任命する必要がある。

と日本のマスメディアからのインタビューに答えるのだ。


何が起きているのか。

知能が低く、低すぎる我が国国民はこれを理解できていない。

9月30日任期満了となる自民党総裁選まであと3ヶ月を切った。

2024年7月2日、今日の産経新聞トップページはこちらである。



■今日の産経新聞トップページ

出典:産経新聞


■記事本文内の自民党総裁選図解

出典:産経新聞

自民党総裁選が近づくにつれ、昨日の読売新聞一面も、日本経済新聞一面も自民党総裁選がトップニュースとなった。

NHKも自民党総裁選特集サイトを作り、テレビも自民党総裁選で一色になる。

そして自民党総裁選が終わると衆議が解散され、解散総選挙が始まる。


過去の新総理任命と衆院選開始日の相関図はこちら。



■各内閣の終わりと過去5回の衆院選の関係図

出典:社会実情データ集

過去5回の衆院選を赤の縦棒で表示させるとこうなる。

前回、第49回衆院選は、令和3年10月31日に行われた。

その1ヶ月前に菅内閣では選挙で戦えないためと、自民党総裁選があり、新総理が衆院で任命され、中身はまるで同じ自民党なのに、トップが菅総理から岸田総理に替わっただけで、内閣支持率が2倍になり、その後すぐさま選挙をし、自民党が勝利した。

その前はずっと安倍総理が連戦連勝だった。

その前は、民主党の野田総理が内閣支持率が最低水準のなか代表戦を行わず選挙をし、自民党に負け、下野した。

その前の麻生総理も総裁選を行わず衆院総選挙をし、当時の民主党に負け、政権交代が行われ、自民党は下野した。

過去5回、内閣支持率の低い地点で、自民党総裁選、または、民主党代表戦を選挙前に行わず解散総選挙をすると選挙で負け野党となる。

また日本人の新しもの好きな国民性から、新総理が任命され新たな内閣がスタートすると支持率が(中身はまったく変わってないのに)、上昇する。

よって、解散総選挙前に総裁選を行うと、内閣支持率が同じ自民党なのに2倍になり、常に選挙に勝利している。

自民党総裁選が行われる前は、絶えずマスコミの取材は政権与党の自民党のことばかり報道する。

メディアは自民党一色となる。

  • 青島だー!

と同じ。


これをずっと繰り返し30年間不況が続いている。

立憲民主党の泉代表が「お願いだから騙されないで」と言っているが、少し違う。

中身が犯罪者なのは変わらない。

しかし連日メディアが自民党ばかり報道したら、政策など一度も語らずとも、知っている顔があれば国民は都民と同じように行動するのである。

政策の可否判断なんて我が国国民には無理なのだから。

メディアジャックするだけで勝てる国。

無理。もう色々無理。

9月に現職外務大臣の上川陽子氏が新総裁、ひいては、新しい内閣総理大臣に任命されたら、クリーンなイメージで(中身は95名も犯罪者がいるのに)、内閣支持率がまた岸田総理の2倍になり、選挙で勝つことになる。

日本は色々もう無理。

犯罪者が解散権持ってる時点で、犯罪者が好きなときに選挙を行える時点で、制度上瑕疵がある。

大変に失礼な話だが、政治家は国民のことを馬鹿だと思っている。

内閣支持率が1割台でも総裁選やって、メディアジャックして、青島だー!やって、新総理任命して、直ぐ衆院選やれば勝てるのだから。

マスコミが日本を食い潰すとは、こういうこと。

関連エントリー:なぜ、世襲の国会議員は、確実に悪なのか?

(おしまい)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?