古き良きニコンはいまも継続も、新規ニコンユーザーには伝わらない
仕事してるときに、Nikonについてもデータを集めてて、気付いた事実がある。
☆☆☆
デジタルカメラの2022年世界シェア台数ベースで、Nikonは11.7%である(*出典1)。
CANONの46.5%と比較して25.1%しかない。
台数ベースでNikon機はCANON機の4分の1しか売れてない。
なんか価格comとか行くと、もうカメラ市場は全盛期と比較して93%も縮小したから、各社潰れる。
もう駄目だ。
って人がほとんどなんだけど、日本経済新聞の統計データを見ると、カメラ業界っていま市場が拡大してるんだよね。
活況中です。現在。
ウチの有料記事が売れる理由が分かる。
統計データはこうなっている。
■デジタルカメラ世界出荷台数・出荷額年次推移
棒グラフの左側グレーが出荷台数。
価格comユーザーが仰っているのはこれ。
出荷台数。
2022年度の出荷台数も過去最低を記録。
なのに右の黒色棒グラフはV字回復している。
黒色棒グラフは「金額ベース」。
金額ベースで2022年のデジタルカメラ市場は6,812億円と、前年比39%市場規模は拡大した。
これが何を意味するのか。
つまり、平均単価が毎年過去最高を更新している。
顧客は減った。
カメラを買う人は減った。
なのに、一人当たりのカメラの購入金額(カメラ1台当たりの購入に支払うお金)は増加した。
みんな1台のカメラに多くのお金を支払うようになった。
以前よりもカメラは高価になった。
よって、台数ベースで市場が縮小しているのに、金額ベースでは市場規模が拡大している。
一人当たり客単価が増加し、市場が拡大したのだ。
2023年度も一人当たり平均単価は過去最大(*出典2)
カメラ業界は金額ベースで市場規模が拡大している。
しかも一人当たりでたくさんのお金を1台のカメラに支払っている。
台数が減っているのに、金額ベースで市場規模が拡大中である。
つまり、趣味性の高い美味しい市場となった。
高付加価値製品が売れる、利益率の高い、有望市場。
なのに、みんなもうダメだーとか言ってるので、統計データなんで見ないの?と思った次第。
それは良いとして、NikonとCANONはこの美味しい、旨味のある市場に、2018年という同じ年にミラーレス一眼を初めて投入した。
Nikonが投入したのがZ6とZ7。
フルサイズの中級機。
同年、CANONが投入したのがEOR R一台のみ。
こちらもフルサイズセンサーを搭載した中級機である。
価格comの登録日順(発売日順)に両社を見ていても、2018年当時はNikonのほうが優勢に見える。
ソース↓
■2018年発売の両社のミラーレス一眼
CANONは1台のみなのに対し、Nikonは2台。
マウントアダプター附属モデルを併せて4台。
Nikonのほうが4倍多く商品を発売させている。
なのに2024年現在、Nikonは業界トップシェアとなったCANONにトリプルスコアをつけられ、シェア1割程度に沈んでいる。
CANONの4分の1しか売れてない。
なぜか?なぜならNikonの古参ユーザーがミラーレス一眼への乗り換えをしなかったためである。
Nikonの古参ユーザーが乗り換えを行わなかった理由は2つ。
1つは、元々軍用機メーカーだったNikonのカメラは、20年程度では壊れないため。
1999年発売のDシリーズ初号機、D1は流石に売ってないけど(でも、使ってる人はいる。25年経ったのに)、2002年6月発売のD100なら、いまも中古でふつうに販売されている。
インターネットではカメラの寿命は3年から5年と言われているが、Nikon機は余裕で20年持つ。
ソース↓
■価格comで登録されてるNikon機(古い順)
価格comでは余裕で20年以上前のカメラが登録(中古で販売中という意味)されている。
キタムラの中古売り場はこちら↓。
■2024年6月10日現在のカメラのキタムラ中古売り場
22年前に実売価格30万円だったNikonのD100は、いまも9,800円程度で手に入る。
CANON機もそうだが、特にNikon機はそう簡単に壊れない。
MINOLTA機とかもふつうに売ってるし。
Nikon D100は、価格comでも中古で9,800円から販売されているし、キタムラは10,000円以下の出品は価格comに多く手数料を取られるため、掲載させず、自社サイトにのみ、ひっそりと掲載され、販売を継続させている。
要するに、デジカメ黎明期のカメラですらまだ動くことからも、2010年代に買ったカメラなどあと10年は余裕で動いてしまうため、Zマウントに買い替える必要がない。
もう一つ、Nikon党(古参のNikonユーザー)を怒らせた事件がある。
それは、Nikonが2018年NikonZマウントを発売させたとき、レンズ側に絞りリングを搭載する、Dタイプレンズとの互換性を廃止したことだ。
DタイプのレンズはほぼAFモーターをレンズ内に内蔵させていない。
そしてZマウントのカメラは、ボディ内にAFモーターを搭載していない。
よって、古いレンズは純正なのに互換性がなく、MFでしか動かない。
SONYが純正マウントアダプターを5台も作って(SONY頭おかしいw)買収した30年前のMINOLTA社のAF非内蔵レンズでさえ、マウントアダプター側にAFモーターを内蔵させて(SONY頭おかしいよw)そこまでして、そこまでしても、過去のレンズ資産すべてをAFで駆動させようと死ぬ気で努力してMINOLTA製品とすら全て互換性を守っているのに、Nikonは2020年まで販売していたDタイプのAF非内蔵レンズとの互換性を切った。
これでは怒らないほうがおかしい。
■SONYは純正マウントアダプターが5台もある。CANONもドン引き
いくら体力がないからって純正の互換性を廃止するとか、20本以上Gタイプ以前のレンズを持ってるNikon党の人がキレまくるのは当然。
そんなことされたら私だってキレるわ。
全部動かないのでは怒るのは当然。
50万円くらい買ったら、そのレンズ全部ガラクタじゃん。ね。
動かないとか。
なので、Nikonが既存ユーザーから評価されないのは仕方のないこと。
問題は新規ユーザー側。
新規のユーザーは画素数の大きなカメラこそ至高!
高画質!
とか思っているのか(それなら、最新機種の5分の1の画素数しかない、画素数1200万画素のα7SⅢを、SONYは45万円もして出さないと思うのだが)、あまり現在のNikonという会社の良心に気づいてない。
すごくもったいない話である。
仕事してて気づいたことを貼っておく。
一眼レフカメラ時代、各社が一番コストを掛けてたのって、光学ファインダーですよ?
光学ファインダーの性能にもっともコストを掛けていた。
光学ファインダーを大きく・明るく・見やすくするのにお金を掛けていた。
一眼レフカメラのフラッグシップ機を担う、現行最新機種の最高級モデル、CANONのEOS 1DX Mark3と、NikonのD6のファインダー倍率が、それぞれ0.76倍と0.72倍。
ソース↓
■CANONとNikonの一眼レフカメラフラッグシップモデルのファインダー倍率
画素数はどちらも2000万画素程度だけど、仕事上1000万画素以上使ったことがないから、まるで問題でない。
むしろファインダー倍率0.76倍とか、衝撃的すぎて、どんだけコスト掛けるねん。
超巨大なペンタプリズム・ガラスを搭載していることが窺える。
フルサイズでファインダー倍率0.71倍で十分仕事に耐えうるのに(0.7倍のファインダーを使ってるプロもいる)、0.76倍とか、CANONどんだけ良い会社やねん!
が写真歴16年の自分の所感である。
ミラーレス一眼になってこのもっとも金掛けてるパーツである光学ファインダーが廃止され、EVFファインダーに代替した。
そこでペンタプリズム・ガラスが使われなくなり、よりファインダー像が大型化し、見やすくなり、高性能化された。
ミラーレス一眼の最大のメリットであり、一眼レフカメラを凌駕する性能とはファインダーであり、EVFファインダーの、ファインダー倍率である。
そこで、現行製品で、もっとも高価なフラッグシップモデルのSONYとCANONと、Nikonの普及価格帯のファインダー倍率を比較すると、こうなる。
■ミラーレス一眼フラッグシップモデルの各社ファインダー倍率
最下段、一番左、SONYのフラッグシップ・モデルであるα1のファインダー倍率は、0.9倍で、世界一大きなファインダーを搭載してるフルサイズである。
一番右、CANONのEOS R3は、同社一眼レフカメラフラッグシップ・モデルであるEOS 1DX Mark3と同じ超巨大EVFファインダーで0.76倍。
それに対して、Nikonは、普及価格帯のフルサイズ入門モデルZ5で、ファインダー倍率がなんと脅威の0.8倍。
もっともコストが掛かる、一眼レフカメラの魂とも呼べる部位で、入門機ながら他社の上位機種を凌駕してしまっている。
なんで70万円以上する一眼レフカメラのファインダーより高性能なカメラが15万円で買えるのに、みんなNikonを褒めないわけ?
叩くわけ?
信じられない。
こんなの写真家やプロだったら(私はセミプロだが)、狂喜乱舞でしょ。
ヤバすぎる会社でしょ。
発狂モノですわ。
Nikonのフルサイズ機は全部0.8倍ですよ。
ファインダー倍率。
Nikonはミラーレスフラッグシップ・モデルのZ9から入門機のZ5まですべてファインダー倍率0.8倍。
あり得ない。
あり得ない。
もっとも金掛かる部分、CMOSセンサーとファインダーのうち、撮影に一番大切なファインダーで0.8倍とか。
プロはファインダーを覗き、シャッターチャンスを視認し、シャッターを切る。
良いファインダーでなければ、シャッターチャンスすら分からない。
もっとも大切な部位に最高の機材使ってるのに、Nikonのシェア1割台とかありえない。
入門者さんはどこを見てるんですか?
73万円以上する、プロ機。
プロが使用する、CANONのEOS 1DX Mark3とNikonのD6とNikonのミラーレス入門機Z5で、画素数同じですよ。
一番大切なのはファインダーなのに、全然売れてない。
これは明らかにNikonの良心。
コスト度外視してる。
魂を注ぎ込んでる。心血を注ぐ。
これが伝わらないとか、Nikonはマーケティングを見直したほうがいい。
15万円で70万円以上のファインダーが買えるとか、個人的に理解不能現象。
激安とか以前にほぼタダみたいなもの。
P.S.
写真を始めてから過去16年間で、私が一番衝撃を受けた光学ファインダーは、こちらに書いてあります。
マウント径と、フランジバック、視野率の話も書いています。
また、良いカメラのランキングも入れてます!
(おしまい)