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パルフェを執筆した俊才シナリオライター、丸戸史明氏について
結構前にだが某所から連絡が来た。記事にするの遅れて申し訳ない。
noteにも上げておく。
☆☆☆
ウチのブログ記事を参考にしてゲームソフトを買った!という連絡が入ったのである。
アフィリエイトもなにもやっていないウチのブログを読んで買ってくれたそうだ。
ありがたい(のかよくわからんがw)嬉しい出来事である。
参考にしてくれた記事はこれ。
買ったのはパルフェだそう。戯画のパルフェである。
パルフェと言えば日本最高傑作ゲームソフトの1つである。あの日本で一番競争が厳しかった2000年代初頭のPCゲーム業界。
日本最難関の市場でトップに立っていた頂点のゲームソフト。
いまより秋葉原が熱かった。そんな時代の日本の頂点である。いまの秋葉原はコロナ後は廃墟だしね。
その前はただの劣化版新宿みたいな感じで観光客しかもういない。あそこにコアな文学馬鹿やオタはもういないのだ。
2000年代まだ秋葉原が元気だった頃、その頂点に立っていたゲームクリエイター、それが丸戸史明氏であり、彼が作ったゲームソフトこそがパルフェなのでである。
ちなパルフェの前作、戯画のショコラがメイドブーム生みの親なのはオタとして当然の雑事である。
もっと言うと、メイドブームは、2005年以降からが全盛期であり、パルフェが出たのは2005年の3月。
ショコラが2003年4月。その先駆けとなったのはオーガストの第一作目バイナリィ・ポットでこれが2002年の2月。
ブームになる前の前兆が2001年にF&Cが発売したピアキャロット3。あの(ゲーム内の)夏休みずっとぶっ続けでエロビデオ屋に通わないと陰のヒロイン(エロビデオ屋で働いている女の子)、要は真の隠しヒロインが攻略できない曰くつきのアレである。
まだファミレスの店員が派手はウエイトレス衣装を着飾っていた時代で、メイドの概念すらなかった頃である。
PCゲーム業界はいまから21年前のその頃からメイドさんをゲームに登場させ、週刊少年サンデーで連載された「ハヤ○のごとく」でマリアというメイドさんが登場したのが連載開始当時の2004年10月からであり、大体3年のラグがあるのである。
自分の知る限りあれが一番最初。同人はもっと早いはず。よって、ブームを起こしたのは戯画である。
つまりPCゲーム業界や同人誌が最初ブームを作る。その2-3年後ジャンプの作家やサンデーの作家がそのオタの用語や、表現を拝借する。
たとえばメイドさんを漫画内に登場させたりもする。
「それマジで神!」とか「神ゲー」という言葉を使ったりね(この言葉が一番最初ネットに生まれたのは20年前の2002年であり、最初使われたのは神ゲーEver17についてである。このゲームを形容するためにどうしても必要だった言葉なのである。20年前神が生まれた瞬間である。それにちなんでの神ゲーなのである)。
ちなみに世間一般が使うユーキャンの流行語大賞で「神ってる」が生まれたのはその14年後の2016年。
ネットで神のゲームが神格化され伝説となり、当時のファミ通に謝罪会見させたあの神ゲーが生まれてから14年後に世間一般で使われるようになった。
「神」という言葉が市民権を得るのにそれだけの時間がかかり、元は2000年代、正確には2002年の王「神ゲーEver17」が産みの親である。
あのゲームは神という言葉以外に形容する言葉がなかった。だから、当時のオタは仕方なく使っていたのだ。あれはゲーム業界の神なのである。
あの禍々しいゲームソフトはそれほどの影響力を与えているのである。
こんな感じで、世間一般に広まるわけだ。認知されるのに2-3年、世間が使い出すのに10年ちょいのタイムラグが生まれるのはそのためである。
テレビとかがメイドブームです!とか言い始めるのは3年後とか5年後、世間が使うのは10年以上先の話である。
そのゲーム業界のトップオブトップ。メイドブームの火付け役。頂点の一角。そんなゲームが復刻されたわけだ。
あれ買ったのね。買ってしまったのね。ええ…。
復刻されたパルフェならいまのOSで動くでしょう。
私は2005年発売のをいまも持ってます。パルフェを執筆した丸戸史明氏は天才ではない。彼は俊才である。
彼はトップオブトップであり頂点である。日本の頂点の一角を担ったゲームクリエイターである。
その丸戸史明氏の最高傑作がパルフェであり、私は5年前にそれを書いた。
同人やPCゲーム業界は世間一般からすると無名だが、上述したように、ムーブメントを作り出している、本来、彼らが日本のトップクリエイターであると書いたのである。
参考にしていただけたみたいでこちらこそありがたい。
(ちな、自分もあのシーンで思いっきり騙されましたよ。里伽子Trueのあれね)
丸戸史明氏の文章はオシャレで都会的。イケてる日本語である。流麗な日本語文章で、まるでお手玉のような。ポンポンポンって感じ。
会話のリズムだけならまさに日本一の物書き。しかもぶっちぎりで。
秋葉原が廃れた後いまはすでに作家だが。それが丸戸史明氏という漢の才である。
個人的に天才が書いた家族計画の会話文とか好きだけど(あれは好み分かれるし、変態だしw、流石に人様には勧められへん)
それと比べても丸戸史明氏のほうが才気があって秀でていると言える。一般向きでもある。
ちな、丸戸史明氏はその才を完全に発揮するときというのは、戯画でもそうなんだけど、彼は遊び心があるときにこそその才を完全に開花させている。
というのが個人的な見解である。
すなわち戯画で企画屋と組んでシリアスなゲーム作ってるときよりも、HERMITで仲間とワイワイやってたときのが彼の才の奔流に、そのおぞましき才に出会えるというものである。
(マニアックですみません、イミフなら飛ばしてください)
文系的な日本語で(彼と対局を成す理系的なそれは作家の東野圭吾である)、文の組まれ方に俊才としての彼の才気が感じられる。
丸戸史明氏はそういうシナリオライターなのだ。文組みが非常に秀でているのだ。秀逸なのだ。
日本語文章が読みやすいのである。
PCゲーム業界での彼の対局だとるーすぼーい氏だろうねー。
彼も頂点の一角であり、日本一のシナリオライターやし、ロミオとの共通点はやはり日本語の読みやすさにある。
だけど丸戸史明氏のほうがそこは優れている。
ロミオは天才だけれど、日本で一番美しい日本語書きだけれど、丸戸史明氏みたいに綺麗じゃないんだよね。
天才は俊才のように綺麗ではない。見た目が綺麗なのが丸戸史明氏の日本語文章。俊才としての才気があふれている。
田中ロミオは美しすぎる。天才シナリオライターは、芋臭く都会的なオシャレな恋愛とか彼は書けない。
しかし田中ロミオは天才である。あれは美しいを通り越している。
果物が腐ったその腐り掛けの瞬間のような腐敗臭の様な耽美な美しさ。
汚物の美しさ。汚物をぶち撒けるような醜いほどの美がある。
日本No.1ゲームソフト、C†Cの後半パート霧シナリオの終わり方とかロミオだなあって思う。
人間はあまりに秀でた日本語文章を読まされると、その文内において相手にバカにされているのに、自分が相手にその文でバカにされたこと自体に気づくことすら許されない。
文学の恐ろしさはここにある。
居合抜きのような斬りかかっていく己は文学的に胴体切断されたのだが、それに気づくことすらできない。
ロミオはそんな日本語を書く。
斬って捨てる。あれほどまでに美しくそして無惨な終わり方を遂げるシナリオを私は見たことがない。
霧の声優さんすごすぎる。曜子ちゃん、人間のこと肉っていうのね。太一、肉が足りない?もっと食べる?って言うんよね。美しすぎる。
ドストエフスキー氏の世界最高文学「悪霊」のエンディングくらいにグロい。
でもドストエフスキー氏のそれはグロくただただ醜い。ただただ人は汚い。汚らしい。黒い。穢れ。悪寒がするような文である。
対して日本最高の物書きとしての天才シナリオライターのそれはグロくて、でもそれが神々しい。綺麗に純化されたものなのだ。
美しい。光り輝いている。醜いのに、白く穢れなき純白なのだ。
あれは美しいのだよ。あれは美しいと形容するのだよ。あの腐敗は。
醜くそして醜悪で、でも果物が腐ったときのようにそれはとても芳醇で甘美で、そして美しいのだ。
パブロ・ピカソの絵画のようにあれは腐ったように美しい。そう表現するものなのだ。そしてそれが綺麗なのだ。
醜いはずのものが見方を変えれば美しい。腐りかけの限界ギリギリの美しさ。文学的キュビズムの境地。
文系の頂点とはそれ。散文化された非論理的な論理。
散文化させているのに正しく配列されている。正しく配列されますように。なのだ。希求すら湧く。
ゴミをばら撒き、撒き散らし、そしてそれをかき集める。すると美文が形成される。
それができるのは田中ロミオだけだし、その配列の美しさこそが彼の天才性である。
なんで短文をあんな適当にくっつけただけでこんなにも綺麗になるのか。
天才やな。となる。それがロミオの日本語。
丸戸史明、田中ロミオ、るーすぼーい、奈須きのこ、虚淵玄(特にファントム時はガチ)、ここら辺のシナリオライターは実にヤバいね。
一騎当千だし敵がいない。無敗。ここ22年間無敗。
2000年代の頂点だから。仕方ない。あと、もう一人の天才、王雀孫と、打越鋼太郎、タムーとSCA-自、麻枝准とタカヒロを入れればほぼ完璧でしょう。
コヨーテは2010年代の才やし。そんなことを考えさせられたメッセージでした。
P.S.
るーすぼーい氏についてはこんな感じで自分書いてますね。
まあ日本の頂点だし。しゃーない。車輪越えるゲームなんて出てこないし。しゃーない。そこはしゃーなしだ!
いつか日本一のゲームソフト、Cross†Channelを越すゲームが世に登場することを切に願って止みません。
もう19年も前のゲームです。誰か頂点を陥落させてください。
(おしまい)